2021/2/27

【筒井康隆】執筆は享楽。作家62年目、文豪の胸の内

ライター・編集者
御歳86歳、作家生活62年目を迎える作家・筒井康隆氏。
『時をかける少女』『パプリカ』『文学部唯野教授』『虚人たち』など、数々の名作を世に送り出し、長年にわたって日本の文学界を牽引してきた筒井氏が、最新作の短編集『ジャックポット』(新潮社)を刊行した。
『ジャックポット』には、コロナ禍の世相を反映させた作品や、昨年2月に長男の画家・筒井伸輔さん(享年51)を食道がんで亡くした思いをつづった「超=私小説」などが収録されている。
60年以上にわたり、SF作品、純文学、メタフィクション、コメディ、パロディ、エッセイと幅広いジャンルの作品を書き分けてきた筒井氏は、虚構が現実となっているかのような今の世界をどう見ているのか。
時に批判を浴びつつも、作品を書き続ける理由とは何か。胸の内を聞いた。
筒井康隆(つつい・やすたか) 
1934年、大阪市生まれ。同志社大文学部卒業後の60年、家族で発行した同人誌「NULL」から短編「お助け」が江戸川乱歩によって「宝石」に転載され作家デビュー。65年、処女作品集「東海道戦争」を刊行。SF第一世代として「48億の妄想」、「霊長類 南へ」など話題作を書き続ける一方、ジュブナイル「時をかける少女」、実験小説「残像に口紅を」など純文学分野でも最重要作家となる。「夢の木坂分岐点」で谷崎潤一郎賞、「ヨッパ谷への降下」で川端康成賞、「朝のガスパール」で日本SF大賞、など受賞多数。「ツツイスト」と呼ばれる多くのファンを持つ。「富豪刑事」「パプリカ」など映像化作品も多数。

すべての作品が「遺言」であり「遺作」