2020/12/2

【秘録】知られざるゲーム産業のメッカ、バルセロナとポーランドが熱い

NewsPicks 記者
サッカーの聖地であり世界有数の観光地でもあるスペイン・バルセロナには、もう一つの顔がある。
日本ではあまり知られていないが、海外の大手ゲームメーカーの拠点が集積し、フェイスブックやアマゾンもオフィスを構える。つまり、モバイル関連産業のシリコンバレーなのだ。
このモバイル産業の聖地、バルセロナに日本で唯一進出しているのがバンダイナムコエンターテインメントだ。
「マリオ」や「ポケットモンスター」を有する任天堂や、「ファイナルファンタジー」のスクウェア・エニックス、「バイオハザード」のカプコンなど、海外に通用するコンテンツを持つ日本企業は少なくない。
一方のバンダイナムコも「パックマン」という海外で通用するコンテンツを持つものの、企業自体の海外ブランド力が十分ではない。
そんな同社が目指しているのは、真のグローバル企業への変革だ。世界各地にマーケティング拠点を持ち、なおかつ、海外でも本格的なコンテンツ開発ができる体制を目指す。
業界で一流の人材が集まるバルセロナへと打って出たのは、グローバル企業に脱皮するために避けられないからだ。
実はバンダイナムコは10年ほど前、海外事業の大苦戦によって、リストラ(人員削減)に及ぶほどの深刻な経営不振の一因となった過去がある。
それが今や、ネットフリックスのドラマとしても大人気のゲームコンテンツ「ウィッチャー」など、他社のコンテンツ販売を引き受ける「ディストリビューター」としても世界有数プレイヤーに飛躍した。
そこで今回は、バルセロナの新会社の久保田達也COO(最高執行責任者)と、海外事業の司令塔、片島直樹常務取締役を取材。グローバル化に苦戦する「日本あるある」の典型であった同社の「脱ガラパゴス化」への道のりを追う。
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バルセロナがゲームの聖地になるまで

地中海に面したビーチとリゾートの地、世界有数の観光の街として知られるバルセロナ。スペイン東部のカタルーニャ自治州の州都だ。世界トップクラスのサッカーチームであるFCバルセロナ(バルサ)の本拠地があることから、サッカーの聖地としてもあまりに有名だ。
今では信じがたいが、かつては「カタルーニャのマンチェスター」と呼ばれ、海辺一帯は工業地帯であった。