2020/10/25

【ワークマン 土屋】「データ経営」と「しない経営」で快進撃

荻島 央江
ライター&編集者
コロナ禍でますます苦境にあえぐアパレル各社を尻目に、成長を続ける作業服最大手のワークマン。2020年3月期の売上高は前期比37.8%増の923億円、営業利益は同41.7%増の192億円と大幅増収増益で、10期連続で最高益を更新。既存店売上高も35カ月連続で前年超え、第1四半期(4~6月)も2ケタ増収増益になった。

「低価格」と「プロ仕様の高機能」を武器に快進撃を続け、日本国内に限れば店舗数ではユニクロを抜く。大躍進のきっかけとなった、一般客向けに「編集」したアウトドアウエアの新業態「ワークマンプラス」の仕掛け人こそ、ワークマンの土屋哲雄専務だ。

土屋氏は創業家の出身で、東大卒。三井物産で30年以上、商社マンとして活躍した後、2012年ワークマンに入社した。「エクセル」をフル活用する「データ経営」と「しない経営」で社内改革を推進、現在の新生ワークマンへと導いた。残業しない、期限は設定しない、ノルマは課さない……。ワークマンのガツガツしない“非常識”な経営、土屋氏の哲学を明らかにする。(全7回)
土屋哲雄(つちや・てつお)/ワークマン 専務取締役、開発本部・情報システム部・ロジスティクス部担当

1952年生まれ。東京大学経済学部卒業。75年、三井物産に入社。海外留学を経て、88年、三井物産デジタル社長に就任。企業内ベンチャーとして電子機器製品を開発し大ヒット。本社経営企画室次長、エレクトロニクス製品開発部長、上海広電三井物貿有限公司総経理、三井情報取締役執行役員など30年以上の商社勤務を経て2012年、ワークマンに常勤顧問として入社。常務を経て、19年6月から現職。初の著書『ワークマン式「しない経営」』(ダイヤモンド社)を20年10月21日に発売した。
ユニクロの背中が見えるまで着る
今日も全身、ワークマンです。
このデニムのパンツは防水性が高く、土砂降りでも大丈夫。靴は本来長靴ですが、ブーツとして履いています。これ(トップスを指差して)はメリノウール入りなので肌触りがいい。ポケットがポイントです。
4年ぐらい前から毎日、自社の服を着ています。最初の頃は、ポケットがたくさんついているような、いかにも作業服というものを着ていました。
娘から「(ダサくて)恥ずかしいから、近所の人に見られないように、会社に行くなら朝6時に行って」と言われていたほどです。
私自身は抵抗ありませんでした。ワークマンの客層拡大を目指すなら、まず自分がそのお客第一号になろう、そんな気持ちでした。何より自分で試すと着心地や機能性がよく分かります。
社員も最初は私の格好に驚いていたようでしたが、「この人は本気で客層拡大をやろうとしている」と感じてくれたようです。
今は社員もワークマンの服を着るようになりました。以前と比べ、デザインはぐっとスタイリッシュになりましたよ。2016年からPB商品の開発に本腰を入れ、製品開発部門の人員を3倍に増やし、外部からデザイナーも呼びました。
社員には洋服代として年間数万円の補助を出しています。今シーズンのものを着るのがルールです。社内販売はしてくれないので、自分で店に買いに行きます。
ユニクロの背中が見えるまでは着続けるつもりです。もしかしたら長く着ることになるかもしれません(笑)。
女性客急増「ワークマンプラス」