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注目のコメント
総合不要論はおそらく40年前以上からあるはずで、古くて新しくて難しいテーマです。今回の記事はいくつもいいところはあるのですが、例えば「何でも屋」といいながらAmazonに全く触れていないとか、ドラッグや家電店が食品を売り出したのはなんでなのか、あるいは結論がトートロジーで「適切に間引きされた多角化企業がよい」とか、やや発散してしまったのが残念です。特に最後の間引き=売却・撤退のところは非常に重要で、牛島教授も指摘されているような「リバースギア」のところをもっと深掘りして欲しかったと思います。新規事業はスタートアップと同じで、おおむね失敗するので。最近のマッキンゼー・クォータリーの記事にもこの売却(divestment)のむずかしさに触れ「定期的にポートフォリオの入れ替えをする企業の業績が高い」ことが報告されています。
https://www.mckinsey.com/business-functions/strategy-and-corporate-finance/our-insights/whats-keeping-you-from-divesting
「多角化」と一言で言っていますが、この中身こそが重要であり、Amazonの総合化とデパートでは同じようにいろいろ売っているのにビジネスモデルが全く違います。シナジーもそうで、多くの場合新規事業参入やM&Aの正当化に使われることは事実ですが、「実在するかどうか」よりはどのような多角化・戦略であればシナジーが生かせるのかをより深く考えることが必要なのではないでしょうか?学生時代、総合電機や総合商社、総合化学と呼ばれる多角化企業に対するあこがれを持った人は少なくないでしょう。社会と暮らしを支えるさまざまな製品を抱え、知名度も総じて高い。
これは経済記者にとっても同様で、世間から注目される総合企業の担当記者になれば、花形担当としてやりがいもありました。実際、経験と実力のある記者ほど総合系企業の担当に配置されます。
が、実際に取材していると、「あれま、多角化・総合企業は専業トップには全く歯が立たない?」との思いに至りました。
そして、多角化企業が専業に対する対抗手段と言えば、大体の場合が、「総合力を生かしたシナジー効果」です。
耳にタコができるほど聞いてきたシナジーですが、専業トップ企業に優位性を覆すほどのシナジー効果なるものは、今までお見かけしたことがありません。
むしろ、専業企業は足りない部分を他社と提携して補えばいい。
逆に、総合系企業が数多くの自社製品群をシナジー効果として活かすということは、大体の場合は「自社製品による囲い込み」戦略なので、ユーザーにとってはありがた迷惑なことも。
そんな多角化経営ですが、日立や東芝のような大企業では事業の選別が進んでいます。今後は準大手・中堅企業にもこの流れが波及するかがカギを握ります。
多角化と専門のバランスは、なにも企業経営に限った話ではなく、仕事をしていれば誰もが悩む専門性(ジョブ)と総合力のバランスをどう取るかの話でもあります。
記事中に出てくる、「間引きされた」多角化経営には、器用貧乏とも言われる「何でも屋」ではなく、視野に広さと専門性を兼ね備えたキャリアとして歩むうえでも考えさせるものがあります。コングロが上手くワークするかは、下記2点だと思っている。
①内部市場がワークするか
②コングロシナジーをどうやって追うかのポリシー
両方とも記事にある点だが、一点目は端的には撤退・売却・投資できるか。特に規模が大きい事業について、自社が他社より競争力が低い場合に売れるか。また、成長可能性があるところに思い切った投資ができるか。
上手くワークするかは、人事・価値観もものすごく影響し、「祖業だから」「社長の出身部署だから」みたいなのが出てくる場合には大体失敗する。ここは日本の総合電機が90~00年代に負けて、ようやく近年は是々非々で議論が進むようになったと思うが、10~20年早かったらと本当に思う。
二点目は、大きくは2パターンある。記事にもあるように、シナジーを追わない場合とシナジーを追う場合。シナジーを追わないなら一点目が重要で、内部でポートフォリオ管理を明確にする。シナジーを追う場合は、共通技術など何を社内で共通化させていくかの明確な戦略が必要。
ただシナジーは相互依存がある。事業の片方が負けたときに、残りの事業のために残さざるを得ない構造になっていると、共倒れすることも少なくない。基本的には個々の事業がちゃんと競争力があるうえで、シナジーをうまく追えるように共通化含めた投資で圧倒することが必要だと思っている。