2020/7/24

【真相】なぜ、KFCはコロナで「120%」成長できたか?

コンサルタント(元NewsPicks記者)
新型コロナウイルスの影響で、多くの外食企業が打撃を受けた。売り上げが半減した事業者もいれば倒産した企業もある。
そうした中、ケンタッキーは2018年12月から全店の売り上げが前年同期を超え続け、コロナの影響を大きく受けた4月、5月も120%を超えていた。
6月は98%と前年割れとなってしまったものの、この状況下で、依然として好調といえる。
ケンタッキーと他の飲食店の明暗を分けたものは何なのか。日本KFCホールディングスの近藤正樹社長を直撃した。
近藤正樹(こんどう・まさき)日本KFCホールディングス社長
1955年生まれ。1978年、早稲田大学政治経済学部を卒業後、三菱商事に入社。伯国(ブラジル)三菱商事社長などを経て、2014年から、当時三菱商事の子会社だった日本KFCホールディングス社長。

コロナがまさかの「追い風」に

──月次の前年比実績が好調です。特に4月は全店の売り上げが前年比の120.6%、5月は122.2%。この好成績は、新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受けたのでしょうか。
コロナの影響を受けている面もあります。これは当然ですが、外出自粛が広がり、店内飲食よりもテイクアウトが選ばれやすくなりました。
もともとケンタッキーはテイクアウトが75%程度で、店内飲食よりも強いのが特徴です。そのため、お客さんに「テイクアウトならケンタッキーにしよう」と思ってもらいやすかったのでしょう。
中でもドライブスルーがある店舗には、多くのお客さんに来ていただきました。ドライブスルーは、感染を警戒する人にとってハードルの低い購買方法です。
テイクアウトに合わせた商品設計をしていたことも功を奏しました。ちょっと冷めてもおいしく食べられるように調理していましたし、パッケージにも温度を維持しやすい工夫を施しています。
また、昼の時間帯の利用が急増した影響も大きい。昼間は、スーパーの利用客も増える時間帯です。
スーパーやドラッグストアで買い物をした人が、家に帰る前にケンタッキーに寄り、テイクアウトしていただくケースが非常に多い。
しかも、そういった状況では家族全員分をまとめて買う場合が多いので、客単価も増えました。
ですから、スーパーや住宅街の近くにある店舗では、売り上げが大幅に上がりましたね。
(写真:Koji_Ishii/iStock)
休校措置も追い風になりました。