2020/9/10

【青野慶久】そこまでやるか、社員に手厚い制度を次々導入

青野 慶久
サイボウズ 代表取締役社長
情報共有のための「グループウェア」と呼ばれるソフトウェアやクラウドサービスを手掛けるサイボウズ。働き方改革の先進的な企業として知られ、「働きがいのある会社」でも2位にランキングされる(2020年、中規模部門。GPTW調べ)同社だが、15年前は危機的状況にあった。

ちょうど青野慶久氏が社長に就任した頃、社員が次々に退職。離職率は28%まで上昇する。給与の引き上げや業務の転換など、社員を引き留めるために様々な対応を試みたものの、さほど効果は上がらず。そこで社員に「どんなふうに働きたいか」を丁寧に聞き取り、「育休・介護休は最大6年間」「副業大歓迎」など働きやすい制度を続々導入する。

これが功を奏し、その後サイボウズの離職率は低下。12年以降は4%前後で推移。業績も好調で、同年以降、売上高は毎年、前年比115%ほどのペースで伸長している。青野社長は経営者としての自信を失いながらも、活力が消えかけた職場をどう再生したのか。(全7回)

社員に優しくしているのではない

サイボウズは最長6年間の「育児・介護休暇制度」や、退職しても再入社を保障する「育自分休暇制度」をはじめ、働く場所と時間を選べる「ウルトラワーク(在宅勤務制度)」など、そこまでやるかというほど社員にとって“優しい”制度を数多く導入しています。
「どうしてそこまで手厚くするのですか」とよく聞かれます。でも、それは私が単純に社員に優しくしようと思っているからではありません。