「ないのなら、つくればいい」藤原和博は、時計も“編集”する

2020/5/6
スマホで時間はわかるから、わざわざ腕時計をしないかもしれない。とはいえ、車や家は所有せずシェアでもいいが、腕時計についてはちょっとお洒落したいという人もまだまだ多い。だからビジネス雑誌でも、時々、特集を組むし、腕時計をシェアしたりサブスクで借りたりするという話は聞いたことがない。
ロレックスを代表格とするスイス・フランスメイドの高級ブランド時計は新品でも中古でも買えば数十万円はする。ジャガー・ルクルトのような宝石をちりばめた宝飾品になると1000万円を超えるものもある。
かつて映画館で上映されていた結婚指輪のコマーシャルでは「給料の3カ月分が目安です」と根拠のないメッセージを流していたが、それが相場になった(笑)。
(写真:sswartz / iStock)
いっぽう、進学や就職、転職や昇進、婚約やなにかの目標達成などの機会に、自分へのご褒美として腕時計にどれくらいかけるだろう。ロレックスを基準とするならボーナス1回分の数十万円が常識ということになるのかもしれない。
しかし、その金額があるのなら、自分のブランドを立ち上げることが可能だ。工場を持つことなく(ファブレス)である。
実際、私が諏訪の時計師たちと開発した、漆や白磁のような日本古来の伝統技術を結晶させた腕時計「japan」「arita」は、10年で12モデルをデビューさせ500本売れた。
文字盤にブランド名を入れないノンブランド商品だが、機械式ムーブメントはセイコーやシチズンのファクトリーアウトレットだから、壊れても街中の時計屋さんで直せて安心だ。ネットだけで売るので流通にかかる中間マージン分を職人さんに還元でき、継承が難しい伝統文化を支える役にも立っている。
今回は「自分へのご褒美はスイス・フランスメイドの高級ブランド」という常識を覆し、自分のオリジナルブランドを立ち上げるスタートアップの物語だ。(全2回)
「arita-ism」(藤巻百貨店より)
ないのなら、つくればいい