【初登場】ヒット広告を自動で作る、謎のベンチャー

2020/4/12
「あなたの会社に、ぜひ投資したい」
2018年5月、日本人起業家、千住光の元に一本の電話がかかってきた。電話の主はビレッジ・グローバルという投資ファンドだ。
実はここ、知る人ぞ知るVCで、ビル・ゲイツやマーク・ザッカーバーグなどが、こぞって個人でお金を預けている先なのだ。起業家だったら、喉から手が出るほど出資を受けたいVCのラブコール。さらに驚くのは、これが起業して3日目の出来事だったということだ。
千住が立ち上げた「Omneky(オムネキー)」は、AIの力を使ってデザインを数値化し、究極までパーソナライズした広告を機械が作っている。
新型コロナウイルスの拡大によって、企業は広告予算を絞り込んでいる。そこにAIによる広告の自動生成のテクノロジーは、ぴったりハマるのだ。
NewsPicksは、これまでメディアに一切登場したことがない、サンフランシスコ注目の日本人起業家・千住光氏にインタビューした。
千住 光(せんじゅ・ひかり) / Omneky 創業者
1993年生まれ。ハーバード大学卒、コンピュータサイエンス専攻。在学時に教育ベンチャー「Quickhelp」を立ち上げ、同様のサービスを展開する「Yup.com」に買収される。Yup.comでマーケティングの仕事をした経験を基に2018年、AIで広告を自動生成できるOmnekyを起業(写真:後藤直義)

デザインのスペルチェッカー

──Omnekyではどんなことができるようになるのですか。
ひと言で言うと、「デザインコンテンツのスペルチェッカー」です。
Wordで文字を書くと、スペルミスや、文法のミスを自動的に指摘してくれますよね。その機能を、広告の写真やグラフィックなど、デザインの世界にも持ち込もうというものです。
今までのデジタル広告は、年齢から性別、趣味趣向まで違う、あらゆるターゲットに投げられてきました。その結果、どの広告が成功して、どの広告が成功しなかったかというのが初めてわかるんですね。
まずは広告を打ってみて、その結果を見てみる。
このやり方では、広告費用の26%が無駄に使われているのです。とりわけ広告のデザイン、キャッチコピーを決める、クリエイティブの仕事は、ブラックボックスだったのです。
そこで広告のクリエイティブの良し悪しを、広告を作っている最中に、リアルタイムで判断できるようにしました。これはコンピュータビジョン(画像認識)の技術によって実現しています。
(写真:iStock / Geber86)
コンピュータビジョンは、広告のクリエイティブを見ると、そこに入っている様々な要素を理解します。色合い、アイテム、キャッチコピー。
そうした要素要素を抜き出して、それが広告にどのような効果があるのか、数値化します。
それらのビッグデータを使うと、成功した広告、失敗した広告の色、キャッチコピー、ストーリーにどんな似た要素があるのかがわかるのです。
例えば、食品キットをデリバリーする会社があるターゲットに向けて広告を打つ時には、コンピュータビジョンで解析して、鶏肉よりも牛肉の方が効果がありそうだなというのがわかります。
赤色のデザインより、黄色のデザインが良さそうだな、はたまた、セールスの文言には「ウィークエンド(週末)にどうぞ!」よりも、「サタデー(土曜日)にどうぞ!」とする方が、買ってもらいやすくなるということです。
こうやってパーツパーツの効果を分析して、広告を見せたい人にとって、最も魅力的に見えるクリエイティブを無限に自動生成していけるのです。
東京都心に住んでいる、40代の高収入の男性。例えばこんな人に対して、金融商品の広告を作りたければ、ワンタッチで画像やキャッチコピーの候補案が出てくる。
人間が頭をひねって、時間やコストをかけなくてもいいのです。
リアルタイムでパーソナライズしたデジタル広告を作る。まだ今はマーケターがAIを使っているとは言えません。

写真、テキストもAIで

健康的な食品をデリバリーしている会社が、南カルフォルニアに住んでいる20代の女性に向けて、広告を作りたい時のケースを紹介しましょう。