【悩み相談】意見がコロコロ変わる経営者に、揺らぐ社内

2020/3/27
音声番組「宇田川元一の職場相談」。
経営学者・宇田川元一氏が専門の「ナラティヴ・アプローチ」の観点から、リスナーから寄せられた職場のお悩みに対してアドバイスを送る、インタラクティブな番組だ。
第6回では、創業5年のベンチャー企業にお勤めの方から、「意見をコロコロ変える創業経営者に、社内が揺らぎ始めている」とのお悩みが寄せられた。

今週のお悩み

創業5年、社員数60名ほどのIT系スタートアップで働いています。創業者とメンバーの間に溝が生まれがちなことが気になります。

スタートアップあるあるですが、創業者に指示された仕事をメンバーが行なっていると、「そんな指示はしていない!」と創業者が怒り出すことがしばしばあります。

たとえば、すでに値段や販売方針が決まったプロダクトについて、創業者から「もう一度戦略を議論したい」という指示があり、私が関係者を集めたことがありました。

しかし会議で開口一番「なんでこんな無駄な会議に時間を使ってるんだ!」とお叱りの声があり、メンバー一同唖然としたことがありました。

そうしたときに「うまくやって火の粉が飛んでこないようにしよう」と考えるメンバーは少なく、創業者に向けて真っ向から反論する人もいます。こうしたやりとりに疲れて辞めていった人もいます。

創業者はそうした例を意にも介さず、私と2人になったときなどに「やっぱり経営者の視座は誰も持てないんだよね。経営者の仲間と話をしていても、社員とは視座が違うって話になるんだよ」と、「経営者は孤独なもの」というナラティヴを強化しがちです。

ちなみに、ある意味創業者の行動はわかりやすく、先読みできることも多いです。たとえば月末になれば営業数字を気にするようになり、社外取締役から何か言われると意見が変わります。そのため、隙間時間などに「あの件、こんな感じで進めているので大丈夫ですよ」などとインプットすれば、創業者も安心する様子です。

ただし、溝が生まれがちなメンバーは「そんなことまでして意味があるのか」と私に言ってきます。人を変えるのは無理ですが、「べき論」を言っても互いに消耗するだけなので、なんとか一歩前に進めるようにしたいです。

(IT企業勤務、30代、営業)
この悩みに対して、宇田川先生からは、「相談者の方は、経営者の方と比較的うまくやっている。だからこそ、あなたがすべきことは…」と具体的なアドバイスが寄せられる。
*音声はこちらからお聞きいただけます(マナーモードを解除してください)
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(聞き手:野村高文、飯塚彩〔株式会社リクルートマネジメントソリューションズ 主任研究員/マネジャー〕、編集:田中裕子、デザイン:黒田早希)