【近内悠太】非常時こそ「逸脱的思考」を鍛えよ

2020/3/15
新型コロナウイルス騒動は、私たちの「日常」「常識」がいかに危ういものであるかを白日のもとにさらした。

こうした事態を、1960年代から警告しつづけたSF作家がいる。『復活の日』『日本沈没』などのベストセラーで知られる、小松左京だ。小松が見抜いていた「日常世界の本質」とはどのようなものか。

彼が得意としていた、常識の外に出るための「逸脱的思考」とは? 小松左京に詳しい哲学者・近内悠太氏のデビュー著書『世界は贈与でできている』から一部を再編集してお届けする。
僕らが見落としているもの
新型コロナウイルスをめぐる目下の混乱は、僕らが構造的に見落としてしまっている「日常の有り難み」を、いとも簡単に白日のもとにさらします。
僕らの「常識」を徹底的に疑い、僕らが構造的に見落としてしまっているものを可視化させる思考のことを、有名な科学史家のトマス・クーンは「逸脱的思考」と呼びました。
日ごろから逸脱的思考をはぐくむのに最適なテキストがあります。
それは「SF」と呼ばれるジャンルの物語です。
近内悠太(ちかうち・ゆうた)/1985年神奈川県生まれ。教育者。哲学研究者。慶應義塾大学理工学部数理科学科卒業、日本大学大学院文学研究科修士課程修了。専門はウィトゲンシュタイン哲学。リベラルアーツを主軸にした総合型学習塾「知窓学舎」講師。教養と哲学を教育の現場から立ち上げ、学問分野を越境する「知のマッシュアップ」を実践している。『世界は贈与でできている』がデビュー著作となる。
小松左京の傑作「夜が明けたら」
日本三大SF作家の1人である小松左京に「夜が明けたら」という短編があります。
こんなお話です(結末のネタバレを含みます。ご容赦ください)。