【深層】737MAX墜落事故を招いた、ボーイングの「裏事情」

2019/6/5
「誰も知らなかった」
昨年秋と今年初め、続けざまに墜落事故を起こしたボーイング737MAX。この旅客機に致命的な欠陥をもたらしたのは、開発の後期段階で発生した「伝達の不備」であることがわかってきた。
737MAXの自動化システムに加えられた大きな改変について、テストパイロットも、エンジニアも、規制当局者さえ把握していなかったのだ。この改変は、のちに墜落事故を起こす直接の原因となる。
737MAXが完成する1年前、ボーイングは自動化システムを、より思い切ったリスクの高い仕様に変更していた。
元のバージョンでは、少なくとも2つのセンサーから信号を入力していたが、最終バージョンでは1つのセンサーしか使用していない。この改変によって、システムは重要な安全装置を失うことになった。2機の墜落機は、どちらもたった1つのセンサーが故障したことにより、制御不能な急降下に陥ったのである。
MCAS(操縦特性向上システム)として知られるこのシステムの設計、テスト、承認に関わった多くの人々が、上記の改変について十分に理解していなかったと述べている。
ニューヨーク・タイムズの取材に応じた、ボーイング社およびFAA(連邦航空局)の関係者(「元」関係者を含む)は、MCASには複数のセンサーが使われており、そもそもシステムが作動する状況自体がまれなものだと思っていた、と口をそろえた。
この誤った仮定のもと、多くの関係者がシステムの運営や承認に関わる重要な決定を行ったのだ。
「全く意味がわからない」と、MAXの元テストパイロットは語った。「何もかも聞かされていればよかったのに、と思うよ」
エチオピア航空機の墜落事故現場(Photo by Wang Xi/China News Service/VCG via Getty Images)
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