どんな人でも必ずリーダーになれる

2018/3/21

牽引型の優秀なリーダーは、もういらない

「兄とは常に、弟の先を行ってなければならない」
これは、『宇宙兄弟』の第1話に登場する、六太の言葉です。
幼い頃に兄弟で誓い合った、宇宙飛行士への夢。弟・日々人は、ブレることなくその夢を叶え、日本人初の月面着陸者にされ、初のミッションを目前に控えていました。一方、六太は勤めていた会社をクビになり実家暮らし。再就職もままならない状態で、悶々とした日々を過ごしています。冒頭のセリフは、そんな六太の心の叫びとして描かれています。おそらく六太は、「兄とは、弟を引っ張っていく存在でなければ」という思いを、常に心のどこかで抱き続けてきたのでしょう。
じつは僕たちも、こうした呪縛に囚われていることがあります。
「リーダーは先頭を走り、みんなを引っ張れる優秀な人間でなければならない」
あえて口に出すことはなくても、「リーダー」という概念に、漠然とそういったイメージを抱いている人は多いのではないでしょうか。
日本社会における組織の形は、これまではトップダウンによるヒエラルキー型が一般的でした。リーダーとは「長」という肩書きを持つ人や、組織をまとめるポジションを意味することが多く、課長・部長・社長といったマネジメント層の人たちを指している場合がほとんどです。学校ならば学級委員長・生徒会長などですね。
リーダーたるもの、行き先や行き方を迷うことなく先頭で示し続け、人々はその背中に憧れ、尊敬しながらついていく——。このようなカリスマ的なリーダーが企業や組織を牽引することで、日本の経済産業はめまぐるしい発展を遂げてきたのです。
確かに、これまでの社会はそれで安泰でした。でも、時代は大きく変化しています。
その変化のスピードはどんどん速くなり、物事の結果がすぐに出てしまうにもかかわらず、予測の不確実性が高く、誰も「正解」がわからない……。
自信満々で有無を言わさずに「こっちへ行くぞ!」と、みんなを牽引するようなカリスマ的リーダーは減少し、個々が自分の行き先を考え、自己責任を負うようになりました。率先垂範・不動不惑のリーダーは通用しなくなりつつあり、「総リーダー時代」に突入しているのです。

「~しなければならない」という呪縛

それなのに、「リーダーたるもの、優秀でなければならない」という呪縛が、未だにどれほど多くの人たちを苦しめていることか!
こうした固定観念に囚われて自信がない人ほど、「私はリーダーに向いていないのでは?」と悩んだり、リーダーであることに精神的負担を感じたりしてしまうのです。また、「正解」にこだわり、柔軟な思考や大胆な発想ができなくなる人もいます。
まずはこの「リーダー=優秀で選ばれた人物」というイメージを、頭の中から取っ払ってしまいましょう!優秀なリーダーが悪いわけではありません。
ただ、優秀でなくてもいいのです。
たとえば、六太が「弟より優秀ではない」という理由で、兄だという事実がなくなるわけではありませんよね? リーダーだって同じです。
リーダーを、リーダーたらしめるものはただ1つ。
それは、リーダーシップを発揮することなのです。
「~しなければならない」という呪縛に囚われていませんか?
でも大丈夫、葛藤やコンプレックスを感じたときこそ、成長するチャンスです!
*続きは明日掲載します。
(画像:小山宙哉/講談社)