『宇宙兄弟』から学ぶ次世代リーダー論

2018/3/20
人気コミック『宇宙兄弟』から学ぶ次世代リーダー論。チームづくりの専門家でもある著者・長尾彰氏が、TVアニメや実写映画にもなった人気マンガ『宇宙兄弟』に登場する数々のエピソードやセリフを引用し、自分の強みを活かしながらリーダーシップを発揮する方法や、理想のチーム作りを指南する。
「今日から、あなたがチームのリーダーです」
職場や学校で、ある日突然そう言われたら、あなたはどうしますか?
「望むところだ!」と、気合いを入れる?自信はなくても、「頑張ります」と 、挑戦してみる?「私には務めあげる自信がありません」と、辞退する?
リアクションは人それぞれに違うと思いますが、「自分はリーダーに向いているのだろうか。リーダーの素質はあるのだろうか」などと、悩む必要はありません。

あなたはリーダーになれます

なぜ僕がそう言い切れるのか。じつは、リーダーに必要とされる「リーダーシップ」は、あなたがすでに持っているものだからです。
現在、会社や組織の中でリーダー的な役職・ポジションについている人はもちろん、1度もリーダーを経験したことがないという人まで、すべての人たちに備わっているので、個々の能力や素質は関係ありません。あるとすれば、リーダーシップを「発揮するか、しないか」の違いだけ。
僕が、小山宙哉さんの描くマンガ『宇宙兄弟』を本書の題材に使わせてもらったのも、宇宙飛行士たちが日々行っている訓練は、まさにリーダーシップを活かした究極のチーム作りだと感じたからです。とくに主人公の南波六太は、リーダーとして、とても魅力的なキャラクターと言えるでしょう。
「いやいや! どう見ても六太は、リーダータイプじゃないでしょ!」
『宇宙兄弟』ファンの中には、そう感じる人もいるかもしれません。確かに、六太は一見するとリーダーとは無縁なタイプです。「何をやっても、デキのいい弟に先を越されてしまう兄」というコンプレックスに苦しみ、なかなか自分に自信を持てません。
でも、彼がいるとなぜか結果的に物事がうまくいっているというパターン、じつは多いですよね。六太がピンチのときは、彼に共感し協力する人間が自然と集まり、目的を達成しますし、逆に彼の言動がきっかけとなり、周囲の人たちが自らの夢を成し遂げている場合もあります。これこそがまさに、「リーダーシップ」なのです。
こうしたアクションを本人はほとんど無自覚で行っているのが、六太のすごいところ。正直、羨ましいくらいです。このギャップが六太の魅力でもあるのですが、覚醒したらきっと、とてつもなく魅力的なリーダーになるでしょう。

人生のハンドルを握る

というわけで、僕たちが『宇宙兄弟』から学べることは多々あります。
本書では『宇宙兄弟』のエピソードと重ね合わせながら、「リーダーとは何か」を紹介していきますが、これからの時代、六太のような「リーダーっぽくない人」こそ、リーダーとしての活躍が期待できるはずだと考えています。
僕はファシリテーターとして、数多くの企業や団体、教育、スポーツなど、さまざまな分野でのチーム作りの支援・促進をしてきました。メンバーがリーダーシップを発揮し、とてもよい状態で目標を達成したチームもあれば、残念ながら、志半ばで空中分解をしてしまったチームも存在します。
リーダーシップの見方が変われば、働き方が変わり、人生も変わります。
リーダーシップは、他者だけではなく自分に対しても発揮されるものなのです。
誰かにコントロールされる毎日と、自分でコントロールする毎日——。
あなたは、どちらを選びますか?
もし人生のハンドルを自分で握りたいと考えるのなら、ぜひページをめくってみてください。
僕は全力で、あなたを応援します!
長尾彰(ながお・あきら)
1975年生。静岡県富士市出身。アドベンチャー教育専門施設、大手玩具メーカーでの勤務を経て、友人と立ち上げた会社でパッケージ化した社員研修を提供する。東日本大震災の復興支援に従事しながら、2012年にナガオ考務店設立後は、企業のみならず、官公庁、スポーツチームなど、組織のジャンルを問わず定期的、継続的な関わりを通したチームビルディングに力を注いでいる。
※続きは明日掲載します。
(画像:小山宙哉/講談社)