「中国崩壊論」の崩壊。外れ続ける「5つの予想」

2017/9/18
実現していない「5つの崩壊論」
日本でいわゆる「中国崩壊論」が語られて久しい。中国共産党による強権的な政治体制は長くは持たない。バブル経済はもう破綻寸前だ。
そんな議論を、飽きるほど、我々は聞かされてきた。
確かに中国に課題は多い。共産党の一党独裁による異質な政治。社会主義市場経済という名の不思議な経済システム。言論・人権への無理解。13億を超える巨大人口。絶え間ない軍拡。
どれをとっても「リスク」に見えることばかりで、こんな体制が続くはずはないと、崩壊論を唱えたくなる気持ちもわからなくはない。
だが、日本人がいくら中国や中国経済の崩壊を語ったところで、その活気は衰えていない。中国の高度成長は一時期ほどではないとはいえ、いまも年率6%代を維持している。共産党の統治もしばらくは揺るぎないように見える。
問題は、それが良いことか悪いことかではない。現実として、過去に語られてきた中国崩壊論は、予想を外しているという事実である。
例えば、過去の中国崩壊論のなかで実現していないものを5つ挙げてみたい。
信じられない数の「中国崩壊本」
もちろんこれらの事例は現在進行形の話であり、将来どうなるのか保証はない。
だが、現時点で、中国崩壊論の多くが外れていることは確かだ。中国はしぶとくしたたかで、そう簡単には倒れないし、崩壊しないのかもしれない。
そして、報道や評論の主たる役割は未来予言ではない。それよりも、中国の現実を見つめ、しっかり付き合い、存分にチャンスを利用し、賢明にリスクを避ける。それが日本人に求められていることだろう。
そんな思いをこめながら、この特集では、まず日本における中国崩壊論の歴史を、出版された「中国崩壊本」の流れを追いながら、検証していく。国会図書館で調べてみると、信じられない数の「中国崩壊本」がヒットした。
正直なところ、「崩壊」を冠した本に目新しい見識を提示している著書はそれほど多くはない。日本人の知的営みとしては壮大なロスではないだろうかと感じさせられた。
【検証】第三次ブームに沸く「中国崩壊本」。なぜ不毛な議論が続くのか
次に、中国経済について日本を代表する研究者である梶谷懐・神戸大教授が、日本人の心理に根ざした「脅威論に走ってしまう心理」を分析。また、最近、中国専門外の経済学者による中国経済分析がはらんだ問題点を指摘してもらった。
【梶谷懐】「中国経済崩壊論」の問題点
中国経済の拡大は、もはや中国という領土を越えて、世界に染み出している。その道具となるのが現代のシルクロード政策ともいえる政策「一帯一路」だ。
【スライド】データで見る中国経済巨大化の足取り
その最先端の一つがインド洋に浮かぶ島国スリランカである。
NewsPicks編集部は現地に飛び、ポートシティプロジェクトが進む経済都市コロンボと、中国企業が99年の運営権を獲得したハンバントタの街から迫真のルポをお届けする。
【スリランカ・ルポ】「一帯一路」の最前線。巨大プロジェクトで浸透する中国
10月18日の共産党大会に注目
中国企業の海外進出は、政府の方針と結び付けられがちだが、もはや、そのような見方だけでは実態を把握できない。
その代表格はアリババとテンセントといったネット企業だ。
アリババとテンセントは時価総額でも世界トップ10にランクインし、アジアの有望なユニコーン企業への投資を加速化している。その実態とこれからの注目点をリブライトパートナーズの蛯原健代表パートナーに聞く。
リープ・フロッグ現象の中国企業。「崩壊論」の裏番組インド
香港の地位も気になる。
「一帯一路」の窓口にありながらも、メインランド化が進んでいる。その地位はシンガポールに脅かされるとの見方もある。ライバルである、この2つのアジアのハブ都市の特徴について、国際政治学者でサウスチャイナモーニングポストなどに多数のコラムを寄せているファー・キンベン氏が寄稿した。
中国経済の未来をどうみるか。
その問題については、2000年以降、中国経済について的確な見通しを世に問い続けてきた中国経済ウォッチャー、津上俊哉氏に語ってもらう。バブル的な要素を多々抱えながら、それでも中国が崩壊しない理由について、津上氏は「共産党のカルマ」があると指摘している。
【津上俊哉】中国経済を蝕む「共産党のカルマ」
最後は中国政治だ。
なんといっても中国は政治の国であり、10月18日には、中国政治にとって最も重要な5年に1度の共産党大会が開かれる。そこで何が起きるのかを「習近平の次は習近平」という見立てとともに、現在最終段階の熾烈な権力闘争の裏側を占ってみたい。
(デザイン:中川亜弥)