【実録】エリート外交官が、スタートアップに転身した理由と覚悟

2017/7/9

とにかく役に立ちたい

2011年3月11日、東日本大震災が発生したこの日、当時、マッキンゼーにいた高橋大就はいてもたってもいられず、首相官邸にいるかつての先輩たちに連絡を取っていた。
「とにかく何か役に立ちたい。人手が足りないはずなので、何でもやりますから」
国を揺るがす大規模災害に、なんとか国のために働きたいと、国家の中枢に掛け合ったのだ。官邸側は検討してくれたものの、さすがに外部の人間が入ることは許されず、高橋は一人、バックパックを背負って、東北地方に駆けつけることを決めた。
東北へ向かう、高橋の胸の中には、かつての上司との「約束」が深く刻み込まれていた。