ZARA vs. ユニクロ。5年後にユニクロが勝つ確率は1%
2015/08/23, NewsPicks編集部
カジュアルウエアの世界No.1 vs 日本No.1
ZARA vs. ユニクロ。5年後にユニクロが勝つ確率は1%
2015/8/23
日本で頂点に立つ企業と世界トップの実績を誇るグローバルカンパニー。両社にはどれほどの差があるのか。日本と世界の距離はどの程度、遠く、近いのか。主要な業種・業界における世界のNo.1と日本のNo.1を比較する本連載。アナリスト集団、Longineのアナリストがデータと自らの見識をもとに分析、日本企業が将来、世界トップに立つ確率も予測する。第10回はカジュアルウエア。ZARAなどを持つインディテックスと、ユニクロのファーストリテイリングを比較する。
両社の異なるスタイル
ZARAなどのカジュアルファッションブランドをグローバルに展開するスペインのインディテックス(ITX)を、ユニクロを筆頭にカジュアルベーシックを展開するファーストリテイリング(FR)と比べてみたい。
この2社は、それぞれスペイン(欧州)と日本というマザーマーケットで圧倒的な力を持っており、それをてこにグローバル展開をしている。特に中国を中心にしたアジアを新たな成長ドライバーにしようとしていることが共通点だ。
一方、ビジネスモデルには違いもある。ITXはスペイン本社にデザインと縫製を集中し、世界各地の店舗での売れ行きをタイムリーに見ながら、比較的少ロットを売り切るビジネスモデルをとっている。必要ならデザインの修正をしながらつくり足し・売り足しをするやり方だ。一方、FRは定番ベーシックを店舗に豊富に並べる戦略で、両社のスタイルは異なる。
このスタイルの違いが、数値面ではどう表れているかを見てみよう。
なお、ITXは1月決算、FRは8月決算であり、FRは2014年8月期からIFRS基準に移行している。それ以前は日本基準での数値となることを注記しておく。
売上高利益率の差が、両社のギャップに
2010年度以降、ITXの粗利率がFRを上回っており、それがそのままEBITDAマージンや営業利益率のギャップの最大要因になっている。FRの2014年度の最新の会社予想によると、営業利益率は12.1%へと改善する計画だが、それでもITXの営業利益率に後塵(こうじん)を拝する。
開示資料から原価率を推察するには限界がある。しかし、このギャップの原因の重要な要因が、冒頭で指摘したビジネスモデルの違いにある推測すべきだろう。ITXはよりファッション性を訴求し、そのデザイン料をチャージする価格設定を行っている。しかも売れ筋管理が厳格で、最小限の値引き(マークダウン)で売り切ってしまう。このサイクルの積み重ねが高い値付けを維持する原動力だと言えよう。
次にROEを見てみたい。
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コメント
注目のコメント
この議論は勝ち負けの基準と分析単位をどこに置くかに依存する。インディテックスとファストリテイリングはいずれも会社(=事業集合)であり、事業(ZARAとかUNIQLO)の勝ち負けを論じるにはズレがある。事業レベルで言えば、ZARAとUNIQLOは、違うどころか真逆の戦略でそれぞれに成功しており、いずれも勝者。スポーツとビジネスの競争とで決定的に異なるのは、後者には勝者が複数ありうるということ。
分析は基本的なモデルや数字をさらっていて面白いが、いわゆる「市場」の視点がないまま結論を出しているのは違和感がある
記事にある通り、両者はモデルが違う。モデルが違うということは消費者に与える価値が違うということ。どちらが選好されるかは、エリアによって、また時代によって移ろうのが消費財の世界だし、嗜好性の強いアパレルは特に。今の消費者ニーズが変わらないという前提で、財務的に勝つのはこちら、という限定つきの結論が正しいでしょう