2024/4/10

【治療と仕事】肺がんステージ4でも働き続けた僕が伝えたいこと

それは突然のことだった。3カ月前に第1子が生まれ、新しい家族を迎えたまさにその時、清水公一さんは肺がんを宣告された。35歳だった。
がんはあっという間にステージ4まで進行。「これからの治療は延命のための治療」と医師に告げられたが、清水さんは命を諦めずに、働きながら治療を続けた。
「AYA(アヤ)世代」と呼ばれる15〜39歳の人のうち、年間約2万人ががんになると言われている。
結婚、妊娠・出産、子育て、住宅の購入など、多くのライフイベントを経験する年齢でのがんは、治療と仕事、治療と育児など、さまざまな問題に直面する。
そんな問題をどう乗り越えればいいのか。最新のがん治療により寛解(病期の症状や検査異常が消失した状態)に至り、現在は社会保険労務士としてがん患者をサポートする清水さんに、がんと仕事の両立について聞いた。
INDEX
  • 診断直後に「してはいけない」こと
  • 上司に伝えること・言わなくていいこと
  • 療養のための休暇制度がなかったら?
  • 頼れるのは高額療養費だけじゃない
  • 推し活は、がんにも有効だ

診断直後に「してはいけない」こと

──働き盛りの若い世代の人が「がん」と診断されたら、職場とどんなコミュニケーションを取ればいいでしょうか。
清水 がん告知から1カ月ぐらいは、気持ちが落ち込み、仕事について冷静に考えることが難しい状態になります。
がんになるなんて想像もしていないから、やっぱり驚くし、ショックですよね。私も35歳で肺がんと診断された時はかなり落ち込みました。
そんな状態になので、この時期は的確な判断ができません。退職などの重要な決断をするのは避けた方がいいと思います。
その後、心理的に落ち着いてきた段階ですべきことは主に2つ。1つは主人医に治療のスケジュールや見通しを確認する。もう1つは勤務先での就業規則の再確認です。
──主治医には何を確認すればいいですか。