2024/2/20

【真相】「Farfetch」はなぜ、身売りに追い込まれたか

NewsPicks 記者
ブランド品販売のECサイトは数多(あまた)あるが、ニセモノを扱う企業も少なくない。
そんな中で、大手ラグジュアリーブランドが正規のパートナーとして認めてきたECプラットフォームがある。「Farfetch(ファーフェッチ)」だ。
ファーフェッチは、ルイヴィトンやグッチ、ロエベなどのハイブランドから新進気鋭のデザイナーまでがそろう高級ブランド品のECプラットフォームとして世界を席巻した。
一時期は「ラグジュアリーブランドのアマゾン」と言われる規模になり、2018年にはニューヨーク証券取引所に上場を果たす。
コロナ禍では巣ごもり需要を追い風に株価が急上昇。2021年2月には時価総額が過去最高の260億ドル(約2兆7500億円)に達した。
しかし、コロナ禍の終息とともに業績は悪化。2024年1月31日には韓国大手ECプラットフォームのクーパンに5億ドル(約700億円)で買収されることになった。
なぜ、一世を風靡したファーフェッチは急速に失速したのか。
ラグジュアリーブランド業界を揺らすファーフェッチ・ショックを専門家の解説を交えながらひも解いていく。
INDEX
  • 革新者ファーフェッチとは
  • コロナ特需からのレッドオーシャン
  • 何が買収に向かわせたのか

革新者ファーフェッチとは

ファーフェッチは、2007年に連続起業家のホセ・ネベス氏がイギリスで創業した世界的なラグジュアリーブランドのECプラットフォームだ。
サイトには、衣類からバッグ、靴まで高級ブランドの最新製品がそろう。
世界中のブティックの在庫をオンラインで結び、ユーザーがサイトで注文すると、出品者であるブランドやメーカーなどが直接ユーザーに発送する仕組みだ。
(iStock / Getty Images Plus)
ファーフェッチは在庫を持たずに、売り上げの20〜30%程度を手数料として徴収する。いわば、アマゾンの高級ブランド版とも言えるビジネスモデルだ。
ラグジュアリーECの市場では、イギリスのNet-a-Porter(ネッタポルテ)が先行していた。