(ブルームバーグ): 楽天グループ傘下の楽天証券の楠雄治社長は14日、2024年に入ってからの新規口座開設数がその前の年の同時期に比べて3倍程度に伸びていると明らかにした。投資上限額が拡充された新たな少額投資非課税制度(NISA)のスタートで、個人の投資意識が高まっているとみる。

楠社長は同日、「今年の口座開設の動きの勢いは例年と全然違っている」と強調した。同社が都内で開いたイベント会場で、ブルームバーグの取材に答えた。例年、年末年始に口座開設は増える傾向にあるが、新NISAをきっかけに「勢いがますます加速している」という。具体的な口座数については明らかにしなかった。

1月から運用が始まった新NISAでは、非課税保有期間が無期限化されたほか、年間投資枠は最大360万円と従来の3ー9倍に増え、生涯投資枠も2倍以上の1800万円になる。日本株は9日に約34年ぶりの高値を付けており、NISAの制度改革も上昇要因の一つとしてみられている。

同証では24年末の日経平均株価を3万7000円と予想。足元では海外投資家が日本株を買い越しているが、「勢いが強すぎるのでいったん調整が入る可能性はある」と指摘。ただ、個人投資家が本格的に日本株を買い始めて大きな資金が動けば、海外投資家がさらに買い増すという好循環が生まれるとの期待を示した。

23年11月に発表したみずほ証券との提携強化については、「大きな顧客層を持つみずほ証券の資産形成層を引き寄せていきたい」と説明。また、オンラインに強みのある楽天証のノウハウをみずほ証の支店などで生かしてもらい「シナジーを有効的に働かせていきたい」と話した。

また、23年11月に上場申請の取り下げを発表した楽天証券ホールディングスの上場時期については「市場環境を見ながら継続して検討していく」と述べるにとどめた。

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