2023/12/25

【採用】急成長の3年間、ハイスピードで行政DXを担う人材へ

NewsPicks Brand Design Senior Editor
 人口減少が進み、生産性向上が急務となっている日本社会。そんななか、DXの進捗がもっとも遅れている業界の一つが行政だ。
 高齢化によって増加する社会福祉関連手続きの増加、行政ニーズの多様化によって複雑化する業務、老朽化するインフラの保守点検など問題は山積み。
 本格的な労働力減少が進んでしまうと、地方行政の担い手はさらに減っていき、私たち生活者への行政サービス低下という形で跳ね返ってきかねない。
 今回、取り上げる「パブリックタレントモビリティ」は、行政や地域のDX(デジタルトランスフォーメーション)を促進するため、2023年10月に設立されたITコンサルティング企業だ。
 ミッションは「日本のDX人材を増やし、適材適所を実現する」こと。
 入社した人材に「成長負荷の高い3年間」を提供し、成長した人材を社内で抱え込むのではなく、より多くの人材を社会に送り出すことで日本の行政全体の問題解決を思い描く。
「自社の成長よりも、日本全体の公共領域の問題解決にこだわりたい」
 同社を立ち上げた代表取締役の川人伸(かわひと しん)氏が、行政DXに対する問題意識や、社員の未来像を語った。

需要が高まる行政におけるDX人材

──パブリックタレントモビリティの事業について教えてください。
 当社は、行政組織のDX推進支援を目的として、コンサルティング・人材育成を行う企業です。
 現在、行政の抱えている仕事は、質・量の両方の面から負荷が上がり続けており、危険水域に近づいている状態と感じています。
 背景には、常に新しい社会問題が発生し、かつ、一つひとつが多様化・高度化していることがあります。社会の実態と、長年運用されてきた制度が合わないことで、数々の歪みが発生しているのです。
 例えば、兼業・副業をする人が増えていますが、今の日本の労務や税金は、一つの企業で勤めることを前提に組み立てられています。そのギャップを行政側が事務処理に手間をかけて調整しなくてはなりません。
 さらに、地域コミュニティの希薄化も、行政組織のカバーする範囲の拡大につながり、現場の負担増加につながっています。
 こうしたことはほんの一例で、制度と実態の歪みがさまざまな分野で起きており、行政処理が追いつかなくなる可能性があります。
 ただ、行政にとってITを活用した業務効率化は急務ですが、思うように進んでいません。
──なぜ、国や自治体のDXは進んでいないのでしょうか。
 コロナ以降、政府はDX推進を国策として掲げています。しかし、阻害要因がいくつかあります。その一つが専門人材の不足です。
 中央省庁も地方自治体も、行政組織の中に、ITやDXに関心を持つ方はいらっしゃるのですが、「DXを進める部署に異動したいが、異動希望が通らない」「異動したとしても、3年ほどでまた別の部署に異動となる」といった人事的な理由で、専門人材が育ちにくい面があります。
 また、「現場の協力が得られない」「保守的な風土で改善案が通らない」などの理由で、諦めてしまうケースもあります。
 個人情報などの機微な情報を扱っており、情報セキュリティの考え方も民間と違うところがあるため、民間で使っているようなSaaSのサービスを利用できない場合がある、といった難しさもあります。
 改善意欲が高いが故に、そうした状況を悲観して、転職という選択肢を取る方もいらっしゃいます。
 こうした状況を受けて、当社は行政に強みを持つDX人材を社会に輩出し、公共領域における人材の適材適所を実現したいと考えました。
 パブリックタレントモビリティのビジネスとしては、コンサルタントとして行政にさまざまな提案をして、業務をより効率的な形に改善していきます。
 入社いただいた方には、デジタルを活用しながら、行政が抱える社会問題の解決に貢献していただきます。
 問題解決力を磨いてもらい、その次のステップとして、行政の中で活躍したり、行政を支える地域企業の立場で行政や地域のDXを推進したりしてほしい。そのようなことが実現できる人材の輩出を目指します。
──行政の仕事にはどんな魅力がありますか。
「行政」と聞くと、単に事務処理を行うようなイメージがあるかもしれません。しかし、行政の中で問題解決に実際にチャレンジしている人たちと話すと、その思いの強さに感銘を受けます。
「どうやったら世の中が良くなるか」という、青臭いことを本気で考え、働いている。
 住民と向き合って、その地域に生きる当事者の一人として、社会を変えて行こうというモチベーションを持った人たちなんです。そういう点では、自社の利益追求が目的である民間とは違った魅力があると思います。

3年間で、デジタルを活用して問題解決ができる人材に成長

──求める人材像について教えてください。
 ITに関する知識は入社後に研修を用意しているので、応募段階では必要ありません。ITについてもコンサルティングについても、未経験者のご応募も大歓迎です。
 だからこそ、「行政のDXを進めて、日本社会を変える」という当社のコンセプトに共感し、「今後3〜5年を自分の成長のための時間に使おう」と捉えてくれる方にご応募いただきたいですね。
 入社後の3年間、研修とさまざまなコンサルティングのプロジェクトに携わっていただき、「デジタルを活用して問題解決ができる人材」に必要なスキルを身に着けてもらいます。
 そして、行政領域でのDX推進人材として、現場の問題を整理して、システム要件を描いて、ベンダーと議論できるレベルまで育て上げることを目指しています。
──入社後は、どのようなキャリアを歩むのでしょうか。
 最初の1カ月は、コンサルタントの心構えやロジカルシンキング、チームビルディングのあり方、ITスキルを学ぶ研修になります。
 また、「自分で成長するスキル」も非常に大事な要素と考えており、そのための思考方法やスキルも、身につけてもらいます。
 その後、行政担当者やサービス利用者に対して、現在抱えている問題のヒアリングを行ったり、国の働き方に関する方針や他の自治体の事例を調査したりして、レポートにまとめるといった業務を担当していただきます。
 その経験を1年ほど積んだ後は、「調達」と呼ばれるITシステムの上流工程を担当してもらいます。ここでは業務課題をもとに、仕様書をつくり、見積もりなども踏まえてシステム導入の判断ができるようになることを目指します。
 グループ会社のグラビス・アーキテクツとの協働プロジェクトや、他の企業との協働プロジェクトや自分たちで直受注するプロジェクトにも取り組みます。
──行政ならではの難しさはありますか。
 コンサルタントは、関係者それぞれの主張から、目的に照らし合わせた着地点をどのようにつくるかが、重要な役割です。行政組織の場合、民間のプロジェクトに比べて、調整が必要な場面が多くなる傾向にあります。
 行政へのシステム導入は、国のルールに従いながら進めなくてはなりません。また、組織の上層部や現場、ベンダーだけでなく、首長や議会、地域の有力者など多様なステークホルダーとの調整能力が求められます。

なぜ、有期雇用なのか

──せっかく育てた社員を3年で辞めさせるのは、もったいない気がします。なぜ、3年間の有期雇用契約なのですか。
 もったいないと感じますよね(笑)。今回の採用予定人数は5人で、全社員30人ほどの体制を目指していますが、当社はそれ以上の拡大を望んでいません。
 理由は、「日本全体での人材の最適配置」をパーパスに掲げ、社会問題を解決する場への人材輩出企業でありたいからです。
 当社を巣立った人たちが行政や地域の企業にステップアップしてくれたら、日本全体にとってプラスになる。それに加えて、10年後くらいに彼らが出世していて、かつ、私たちが行政を支える中核企業となることで、いずれビジネスパートナーになれたらと考えているんです。
 また、期限を決めることで、会社としても、限られた時間の中で確実に成長できる経験を積めるよう、社員と全力で向き合うことになります。
 入社される方にとっても、あえて厳しく期間を区切り、キャリアに向き合わざるを得ない環境に身を置くことが、必ず大きな成長につながるはずです。
 働きながらスキルを身に着け直し、次のステップに行く「リスキリング」の新しい形として捉えていただけたらと思います。
──契約期間満了後のキャリアについて教えてください。
 デジタルの側面から地域社会の仕組みやインフラづくりに関わるキャリアへの再就職をメインに考えています。具体的には、地方自治体や地域に根ざしたIT企業、電力やガスなどのインフラ企業などですね。
 行政の内情や仕事の進め方、問題意識などを理解しているDX人材はまだまだ少ないため、活躍の場はかなり広いでしょう。
 自治体の場合、地方公務員試験を受けることになりますが、2023年にDX人材の経験者採用で教養試験をなくした埼玉県のように、DX人材を特別扱いする自治体が出始めています。
 こうしたケースは今後増えていくと予想できるので、地方自治体も有力な選択肢になるはずです。
──どのような方にチャレンジしてもらいたいとお考えでしょうか。
 自らキャリアを切り拓きたいと考えている人に、ぜひ挑戦してほしいです。
 入社後の数年間は、求められる成長スピードに苦労することもあるかと思いますが、行けるところまで成長したい意欲がある人にとっては、何物にも代え難い経験ができます。
 人材育成については、これまでもグラビス・アーキテクツで未経験者を育ててきた経験があります。あわせて、当社のマネジメントメンバーは、コンサルティングファームでマネージャー職を経験しているので、その知見をもとにプログラムを組み立てています。
 また、当社は設立間もない会社ですので、一緒に会社を作り上げていく楽しみを感じられる人だとうれしいですね。
「自分を変えたい」と思うと共に、地域の未来をつくるためにモチベーション高く働きたい人のチャレンジをお待ちしています。