2023/12/10

【直撃】アリババの最強EC部隊が、日本に進出する理由

NewsPicks 記者
「アリババ1688」というプラットフォームを知っている人はどれほどいるだろうか。
アリババグループが運営しているECプラットフォーム5つの中で、一般に最も名前が知られていない知る人ぞ知る存在で、中国国内の工場約100万社と、中国国内の法人顧客をつなげ商品を作るのをサポートしている。
実は、同じアリババグループのタオバオなどの超大手ECも、1688を経由して、商品が出品されている。
何よりも、その影響力はグループ内にとどまらない。
現在激伸び中のECサイト「Temu」でも商品の多くが1688から出品され、さらに激安のファッションブランドSHEINですら、ブランド立ち上げ当初は1688を経由して商品を作っていたほどだ。
このようにさまざまなECプラットフォームの商品供給を支えている1688は、中国国内ではモールの「お母さん」とまで言われている。
この1688が先日、日本大手の中国輸入代行業SNIFFグループと提携し、日本の中小企業やインフルエンサーなどに向けて、「SHEINやTemuのような激安」、かつ「高品質」な商品を提供する取り組みを開始した。
今なぜ、1688は海外の顧客開拓に力を入れるのか。さらに今回の取り組みでなぜ、コスパのいい商品を作れるのか。
そのカラクリなどを聞くべく、1688CEOの余涌氏と、SNIFF CEOの吴烨彪氏、いつも.のCEOで子会社、「いつも.SNIFF」のCEOを務める坂本守氏を直撃した。
INDEX
  • 日本で通用すれば世界で通用する
  • 低価格と品質、どう両立するか
  • ものづくりの「ハードル」を下げよ
  • SHEIN、Temuに続け

日本で通用すれば世界で通用する

──海外顧客の開拓に力を入れると聞きました。なぜ最初の進出国として日本を選んだのでしょうか。
 中国のものづくりは、一つステージが上がったと認識しています。
第1ステージは「安かろう悪かろう」というイメージだったでしょう。
第2ステージは、品質のレベルが全体的に上がっていて、不良品も少ない。今はここまで来ています。
中国ではかつて、海外の名のあるブランドを欲して、ロゴのついた服やバッグなどを好んで購入していました。
けれど今人気があるのは、無印良品やユニクロです。
それは、ネームバリューではなくて本当に着心地が良かったり、便利であるという、理性的な理由で選ばれています。