(ブルームバーグ): シェアオフィス事業を展開する米ウィーワークはもうける方法を見つけられなかったが、共同創業者のアダム・ニューマン氏がそれを知っているのは確かだ。

ウィーワークは今週に入り米連邦破産法11条に基づく会社更生手続きの適用を申請。物議を醸すことが多かったニューマン氏が経営を退き、ようやく上場を果たしてからわずか2年で破綻した。負債額は約190億ドル(約2兆8700億円)で、資産は150億ドル。ソフトバンクグループやビジョン・ファンドを含む長期投資家は既に被っている多額の損失がさらに膨らむことになる。

ニューマン氏(44)は発表文で、「ウィーワークが今やかつてないほど重要となったプロダクトを生かせずにいるのを傍観するのは、私にとってつらいことだった」とコメントした。

しかし、ニューマン氏は2019年に最初のIPOの試みが頓挫し、最高経営責任者(CEO)を解任されたことに感謝する気持ちもあるかもしれない。ブルームバーグ・ビリオネア指数によれば、同氏はCEO職を辞した後も潤沢な流動性資産を保有し、純資産はなお17億ドルに上る。

ウィーワークの経営破綻がニューマン氏の資産に打撃を与えたのは間違いない。ビリオネア指数によると、同社が21年に特別買収目的会社(SPAC)との合併を通じて上場した際、ニューマン氏の資産は23億ドルで、その3分の1近くをウィーワーク株が占めていた。その後、株価は99%余り下げている。

新たなベンチャー事業

最近のニューマン氏は、新たなスタートアップ企業フローの経営で忙しい。集合住宅不動産を手掛ける同社は稼働前の22年8月、ベンチャーキャピタル(VC)のアンドリーセン・ホロウィッツから3億5000万ドルの投資を受け、企業価値10億ドルと評価された。

ニューマン氏自身のフローへの投資額は不明のため、同氏の資産算定に同社は含まれていない。このため同氏はブルームバーグの数字よりも裕福な可能性がある。

届け出によると、ニューマン氏がウィーワークに貸しているビルはなく、つまり同社の破綻に伴いリース契約の再交渉を迫られている不動産オーナーの1人ではないことを意味する。

ただ、ニューマン氏とウィーワークとのつながりは完全に終わったわけではないかもしれない。同氏は破産後の事業に関与する可能性について打診されていると、協議に詳しい関係者1人が非公開情報であることを理由に匿名で明らかにした。

「適切な戦略とチームがあれば、ウィーワークは再編を通じて成功裏に立ち直ることができるだろう」とニューマン氏は語った。

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原題:Adam Neumann Remains a Billionaire Even With WeWork Bankruptcy(抜粋)

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