【激震】動き出す2000兆円。新NISAが開く地獄の扉
NewsPicks編集部
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私がエコノミストの駆け出しのころ(四半世紀前)に常識として教わったのに間違っていたことが二つあります。
一つは、政府債務残高が拡大すると長期金利が上がるということと、もう一つは高齢化が進むと高齢者が貯蓄を切り崩して家計の貯蓄率が下がり、家計金融資産が減るということです。
前者は、政府部門でしか資金需給を見ていないことが誤りであり、後者は高齢者が支払ったお金はマクロで無くなるわけではなく、企業を通じて現役世代に移転したりもするということを無視しているということです。ヘッドラインだけ見ると、NISAに伴う円売りがさらなる円安を惹起するという意味での地獄の扉かと思いましたが、職業病でした。なお、円に限定した場合の現預金は約1100兆円ですから、5%外貨に動くだけでも55兆円(22年度の経常黒字にして5年分)が円売りになります。過去四半世紀で徐々に、しかし確実に外貨建て運用比率は増えていますし、人口動態において今の現役世代が資金循環統計の支配層になってくると本格的に「貯蓄かから投資」は加速する可能性があると思いますし(形式上は)政府・与党もそれを望んでいるという状況にあります。
いろいろ考えると「NISA口座を移す手続きが煩雑」という点が結構大きい気がします。なぜそうなっているかはわかりませんが、どこかで(昔の携帯のように)新規加入者獲得競争から他社からの奪い合い競争に転じるでしょう。結局その時も手数料だけが差別化要因とすれば、大手数社に集約されていくのは見えています。