(ブルームバーグ): 米アップルのスマートフォン「iPhone」の受託生産で知られる台湾の鴻海精密工業は、人工知能(AI)の統合を通じ電気自動車(EV)戦略を強化しようとしている。

鴻海の劉揚偉会長は台湾で18日開いたイベントで、AI向け半導体でリードする米エヌビディアのジェンスン・フアン(黄仁勳)最高経営責任者(CEO)共に鴻海のEV「モデルB」に乗って登場。2人は自動走行などのテクノロジーで自動車をよりスマートにする取り組みについて語った。

劉、フアン両氏が示した「AIファクトリー 」と呼ぶコンセプトは、鴻海とエヌビディアがEVからデータを収集し、その情報を活用し自動車テクノロジーの改善を図るというもの。

「この車はもちろん経験を経てより多くのデータを収集し、そうしたデータはAIファクトリーに送られる。AIファクトリーはソフトウエアを改良し、端から端までシステム全体をアップデートするだろう」とファン氏は述べた。

フォックスコンとしても知られる鴻海は、アップルやアマゾン・ドット・コム、HP、ソニーグループなどの消費者向け電子機器の製造を側面から支え業績を伸ばしたが、パソコンやスマホの市場が停滞する中で今後の成長に向け軸足をEV事業に移そうとしている。モデルBの量産開始時期は不明。

劉氏は2020年の時点で、25年までに世界のEV市場で10%のシェアを得るという目標を掲げていたが、当初の取り組みではつまづきもあった。

鴻海は米ローズタウン・モーターズのオハイオ州にある製造施設を買収することで米国に自動車事業の拠点を確保し、昨年9月にはローズタウン向けEVの製造を開始。だがその後、両社は対立。ローズタウンは今年6月に破産法適用を申請した。

原題:Hon Hai Aims to Expand Its Push Into Electric Vehicles With AI (抜粋)

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