2023/10/19
【橋本栄莉】嫌な仕事は「フィールドワーク」だと思えばいい
人生の「探求者」たちのエピソードから、自分らしく、しなやかに生きるヒントを探る連載「Life Quest(ライフクエスト)」。
今回は、文化人類学者で、立教大学文学部准教授を務める橋本栄莉(はしもと・えり)さんの人生を深掘り。
生きづらさを抱えたまま学生時代を過ごした橋本氏は、文化人類学を学び、自分の知らない世界に出会い、救われた気持ちになったと語った。
橋本氏が救われたように、文化人類学は人生をもっと楽に生きるための思考法を教えてくれる。
文化人類学者になったつもりで、目の前の現実を観察しながら向き合ってみると、世界が違って見えるかもしれない。
第4話では、橋本氏の学生時代を追いながら、今日から実践するべき文化人類学のススメをお届けします。(第4話/全5回)
- 「生きづらさ」を抱えていた
- 浅草サンバカーニバルの経験
- 「嫌な仕事」の乗り越え方
- 文化人類学を学ぶ「意味」
「生きづらさ」を抱えていた
前回、「社会そのものが呪いだと思って生きている」という話をしましたが、私は大学2年から大学院にかけて、ずっと生きづらさを抱えていました。
原因を強いてあげれば、大学生がよく抱えるような、「なんかつまらない」とか、「このままでいいんだろうか」とか、本当に漠然とした不安だった気がします。
私の周りにいる人は全然悪くないのですが、私はそもそもネガティブで、普遍的な幸せとか愛とかをあまり信じられない思考パターンの持ち主。
大学3年のとき、心療内科のお世話になったことがあります。
そのときはもう一つのことしかできず、ほかは何もできない状態。
それで心療内科の先生と相談して、「それなら、一つのことだけやろう」ということになりました。