Max A. Cherney

[サンフランシスコ/エルサレム 9日 ロイター] - イスラム組織ハマスによるイスラエル攻撃を受け、同国軍がパレスチナ自治区ガザへの全面侵攻を仕掛ける可能性も出てきたため、同国で事業を行っているハイテク企業は事業に支障が生じる可能性がある。

ハイテク産業はここ数十年間、イスラエルで最も成長の著しいセクターだ。雇用の14%、国内総生産(GDP)の20%ほどを占め、経済成長の要となっている。

クレセット・ウェルス・アドバイザーズのジャック・アブリン最高投資責任者は「通常の事業に多大な混乱が生じる」とし、紛争が拡大するようなら、ハイテク企業の職員が軍の予備兵として招集されるなど、短期的に経営資源を他に取られる恐れがあると述べた。

イスラエルは既に、過去最多の30万人の予備兵を招集すると表明しており、その多くは米国に本拠を置くイスラエルのハイテク企業から呼ばれる可能性がある。

ニューヨークとテルアビブに本拠を構えるオンライン・セキュリティー企業、アクティブフェンスの創業者で、イスラエル生まれのノーム・シュウォーツ最高経営責任者(CEO)は、自身は兵役のためにイスラエルに戻る見通しだが、紛争中も顧客向けサービスは続けると語った。「わが社は世界中に十分な数の従業員がおり、全員を管理できる体制だ」という。

LPLファイナンシャル(米ノースカロライナ州)の首席グローバルストラテジスト、クインシー・クロスビー氏は、イスラエルの企業は攻撃から物理的な施設を守るため、「甚大な努力」を行うとの見方を示した。一部のハイテク関連支出は軍と結びついているからだ。

民間企業としてイスラエル最大の雇用主である米半導体大手インテルの広報担当者は「イスラエル情勢を注視し、従業員の安全管理と支援のための措置を講じている」と述べた。半導体生産に影響が出ているか否かについてはコメントを控えた。

米半導体大手エヌビディアは、来週テルアビブで予定していた人工知能(AI)サミットをキャンセルしたと明かした。

イスラエルのハイテクセクターは今年、政局不安やネタニヤフ政権への市民の抗議行動によって成長が減速。イスラエルのハイテク新興企業の間では、米国で創業することを選ぶ社が増えている。

イスラエルで事業展開している多国籍企業は現在約500社。インテル、IBM、アップル、マイクロソフト、グーグルなど、イスラエルの新興企業を買収して研究開発センターを営む形が主体だ。