2023/9/13

【伊藤潤二】世界のOTAKUが熱狂するホラーの巨匠の頭の中

NewsPicks 記者
マンガは国境の壁を超える──。
マンガ界における米アカデミー賞「アイズナー賞」を4度受賞し、マンガ界のカンヌ国際映画祭といわれる「アングレーム国際漫画祭」で特別栄誉賞を受賞するなど、世界的に名声を築く作家がいる。
伊藤潤二。ホラー漫画界の巨匠として知られ、デビュー作であり代表作である「富江」は9回も映画化されているほど。
伊藤氏の作品は、90年代に台湾で作品が紹介されるようになると、近年は、アジアを超えて、アメリカやブラジルなどにまで熱狂的な人気が広がっている。
本企画の1話に登場したビズメディアの佐々木健社長は、アメリカにおいて「Junji Ito」がブランド化するほど、すさまじい人気があり、作品が一つの芸術として支持されていると証言するほどだ。
NewsPicks編集部は、伊藤氏を取材、日本を超えて作品が広がる理由、また「アート」とまで評価される作品の裏にある美学などについて聞いた。

INDEX
  • きっかけは、楳図かずお先生
  • 「大うそ」をリアリティで武装する
  • 新しい「怖い」を探求し続ける
  • トカゲの尻尾から生まれた「傑作」
  • ホラーだからこそ、描かないのもの
  • 伊藤作品と西洋文化との親和性
  • 「面白そう」で話に乗ってみる
  • マンガは芸術だ

きっかけは、楳図かずお先生

── 海外で最も評価される日本人マンガ家の一人といわれています。ご自身では、この人気をどのように受け止めておられますか。
自分のマンガが、海外で紹介される日が来るとはデビュー当時は全然想像していませんでした。