2023/9/8

【解説】「コーチ」の買収は、高級ブランド界を変えるのか

NewsPicks 記者
「コーチ(COACH)」などを展開する米タペストリー(Tapestry)が、「マイケルコース(MICHAEL KORS)」などを展開するカプリ・ホールディングス(Capri Holdings 以下、カプリ)を買収する。
ラグジュアリーブランドは近年、LVMHモエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(以下、LVMH)とケリング(Kering)、リシュモン(RICHEMONT)の3大コングロマリットにブランドが買収され、ブランドが収斂されていっている。
今回の買収劇も大きな流れとしては、ブランド収斂の一つといえるだろう。
だが、今回主役となるのは、特に買収を繰り返している巨大コングロマリットLVMHでもなく、ケリングでもリシュモンでもない。
米国を拠点とするタペストリーというところがポイントだ。
そもそもファッションビジネスに関わる人以外では、ラグジュアリーブランドのコングロマリット化が進んでいることもそこまで知られていないかもしれない。
このニュースの背景には何があるのか、ラグジュアリービジネスの歴史の文脈をみなければわかりにくい。
ラグジュアリービジネス研究の第一人者である早稲田大学ビジネススクールの長沢伸也教授への取材をもとにひもといていく。

第4のブランド連合登場か

改めてニュースを振り返ろう。
8月10日、コーチや「ケイト・スペード ニューヨーク(kate spade new york)」などを展開する米タペストリー(Tapestry)が、カプリを約85億ドル(約1.2兆円)で買収すると発表した。