[23日 ロイター] - 米半導体大手エヌビディアが23日発表した第3・四半期の売上高予想は市場予想を大きく上回った。同社がほぼ独占供給している人工知能(AI)向け半導体の需要急増が追い風となる中、新たに250億ドルの自社株買い計画を発表した。

株価は引け後の時間外取引で9.6%上昇し、最高値を記録した。

第3・四半期の売上高予想は約160億ドル(プラスマイナス2%)。リフィニティブによると、アナリスト予想平均は126億1000万ドルだった。

投資家はエヌビディアがAIブームで大きな恩恵を受けるとみており、同社の株価は今年に入って3倍に上昇、半導体メーカーとして初めて時価総額が1兆ドル規模に達した。

アナリストは、エヌビディアのAI向け半導体の需要が供給を少なくとも50%上回っていると予想、需要超過は今後数四半期は続くと見込んでいる。

エヌビディアのジェンスン・フアン最高経営責任者(CEO)は声明で「世界中の企業が、汎用コンピューティングからアクセラレーテッド・コンピューティングや生成AIへと移行しつつある」と述べた。

第2・四半期(7月30日まで)の調整後売上高は135億1000万ドル。アナリスト予想は112億2000万ドルだった。

データセンター事業の売上高は141%増の103億2000万ドル。アナリスト予想の76億9000万ドルを20億ドル以上上回った。

ゲーム向け半導体の売上高は24億9000万ドルに増加し、アナリスト予想の24億ドルを上回った。

調整後1株利益は2.70ドル。アナリスト予想の2.09ドルを上回った。

エヌビディア幹部は第2・四半期の成長に最も貢献したのは半導体事業だけでなく、より広範なAIシステム事業だったと説明。同社は他のサプライヤー製の半導体や部品を使ってAIシステムを製造している。

ウェドブッシュ証券のアナリスト、ダニエル・アイブズ氏は、今回の決算は年内のハイテク市場に波紋を広げるとの見方を示した。

エヌビディアのコレット・クレス最高財務責任者(CFO)は電話会見で、米国が中国へのAI向け半導体販売にさらなる輸出規制をかけたとしても、業績に直ちに影響を与えることはないと発言。ただ、このような規制は「米国の産業が世界最大級の市場で競争し、リードする機会を永久に失うことになる」と懸念を示した。

インサイダー・インテリジェンスのシニアアナリスト、ジェイコブ・ボーン氏は、エヌビディアの第2・四半期決算はAIブームに乗って同社が圧倒的な地位を築いたことを裏付けたとした上で、同社半導体への世界的な需要が高まるにつれ、サプライチェーンのハードルを乗り越えて生産量を増やすことが不可欠になると指摘した。

エヌビディアは、主にデータセンター向け半導体の供給を確保するために多額を支出している。

リフィニティブがまとめたアナリスト予想では、エヌビディアのデータセンター事業の売上高は2025年度には400億ドルにまで増える見通し。AI関連の半導体の需要に後押しされるとみられる。

エヌビディアは第3・四半期の調整後売上総利益率が72.5%(プラスマイナス0.5%)になると予想。アナリスト予想平均は70.4%だった。