ブルーライトカットのめがね、目の負担軽減の助けにならず 国際研究で結論
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物を売るために、効果ゼロとは言えない、ものを、効果がある、かのように売ってしまっていないか?
『ブルーライトフィルターレンズでカットできるのは、コンピューター画面などから放出されるブルーライトの10~25%のみ。しかも、ブルーライトは「私たちが自然光から浴びる光のわずか1000分の1」にすぎないという』
注目のコメント
ひとつの研究は、物事のすべてを明らかにするわけではありません。ブルーライトカットのメガネが全てについて無効であると解釈してしまったらそれは誤解です。
この研究で明らかとした点は、普通のメガネと比較して、コンピュータ使用による目の疲労を軽減するためにブルーライトフィルタリングレンズを使用することには、短期的な効果がない可能性があるということです。逆に言えば長期的な効果についてはこの研究では分かりません。
また、視力、明るい光によるまぶしさの軽減、網膜の保護効果、睡眠への影響などの効果については、この研究では明らかとなっていません。
ブルーライトカットのメガネの有害な影響には、頭痛(8%)、抑うつ症状の増加(17%)などが指摘されています。ただし、これらの影響は、非ブルーライトカットメガネでも報告されており、ブルーライトで増加するかどうかを評価するには十分な根拠がなかったと結論づけられています。
参考文献
https://www.cochrane.org/CD013244/EYES_blue-light-filtering-spectacle-lenses-visual-performance-macular-back-part-eye-protection-and心をくすぐる謳い文句で世の中に普及している商品が、いかに根拠なく販売されているかがわかる出来事だと思います。
山田先生のコメントの通り、この研究結果は短期を切り取ったものであり、ブルーライトレンズの効果を全て否定できるものではありません。しかし、既にブルーライトを防ぐことによって様々な良い効果があるとしてビジネスとして世の中に普及させてきましたが、少なくとも短期的には意味がないという事が報告されました。
まだまだ研究が必要な領域ですが、世の中の様々な商品が、大した根拠を持たずに堂々と販売を促進しているのがわかる良い一例かと思います。私は医師ではありませんが、医療や健康におけるこの手の“効果ある・なし”の話を理解するため、エビデンスについてコメントします。
まず3点を理解することが重要です:
1)エビデンスにはレベル(確信性)がある
2)学会を中心とした専門家集団がガイドライン策定委員会を設け、最新の研究成果をふまえて医療行為の推奨度を数年ごとに書き換えている
3)とは言うものの、医療行為はおのおのの医師の判断により為される
たとえば、消化器内科の或る治療ガイドラインでは、下記のエビデンスレベルが定義されています:
A(強):効果の推定値に強く確信がある
B(中):効果の推定値に中等度の確信がある
C(弱):効果の推定値に対する確信度は限定的である
D(とても弱い):効果の推定値がほとんど確信できない
エビデンスレベルがCの治療行為も日常臨床で当たり前のように行われています。誤解を受けるかもしれませんが、やらないよりはやったほうがいいという話です。エビデンスレベルの元になる情報には『症例報告』(個人レベルのミクロな報告)やopen study(何をしたのかを医師も患者も知っているので主観が入る)など信頼性が低いもの、ランダム化比較試験(RCT)という主観を排除した信頼性の高い評価もあります。さらに、多くの医療機関で行われたRCTを集めて再解析したシステマティックレビューがエビデンスの最高峰となります。
この記事の内容はいわば、システマティックレビューで結論がでちゃいました、という話です。
補足ですが、コロナ騒動では「エビデンス」という言葉がメディアの至る所で使われました。しかし、エビデンスにレベルがあるということを踏まえずに述べられていることが多かったように思います。例えばスパコン富岳による飛沫飛散simulation。So what?という話であって、ほぼ何のエビデンスにもなりません。論文の考察に使えるかなあという程度です。