2023/8/17

グッチ、エルメス。一流ブランドが頼る300年企業がすごい

NewsPicks マクロ・マーケット担当記者
エルメスにカルティエ、リッツ・カールトンにレクサス、グッチにライカ、さらにはオープンしたばかりのブルガリホテル 東京まで──。
これら文字通り世界中のラグジュアリーブランドをとりこにする日本企業がある。
その名は「細尾」。1688年創業、京都・西陣織の老舗だ。
2023年4月、東京駅の真ん前にオープンした「日本最高級」をうたうブルガリホテル 東京。全室で細尾のテキスタイルが使われている。
歴史と品格を代々受け継いできたとはいっても、西陣織はあくまで「日本の伝統工芸」にすぎなかった。それを、ここまで高級ブランドがこぞって欲しがる「極上世界的ブランド」にまで引き上げたのには、仕掛け人がいた。
その人物こそが、細尾12代目の細尾真孝氏だ。
真孝氏は、大学卒業後に音楽活動を歴て、起業も経験するなど「カウンターカルチャー」に身を投じてきた。2008年に細尾に入社すると、次々と世界中のラグジュアリーブランドとの取引を進めていった。
アートや工芸の世界で注目を集める、日本のラグジュアリーを背負うリーダーの一人といっていいだろう。
「細尾のDNAは『美』と『革新』、そして『協業』です」
創業から300年以上経つとはいえ、ただ伝統を守るだけでは、世界の壁は破れない。そのあくなき「美」への探究心と、イノベーションとの付き合い方、これからの日本の歩む道までを真孝氏にぶつけた。
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