2023/7/19

【独占】イオンが賭ける「謎のECスーパー」に迫る

日本は世界で最もネットスーパーの展開が難しい市場の一つだと言われている。
ネットスーパーには、在庫や鮮度の管理、配送などそれぞれのフェーズでハードルが多くあることに加えて、他の国と比較しても日本の消費者の眼は際立って厳しい。
そんな中、7月10日にイオンのネットスーパー「Green Beans(グリーンビーンズ)」がオープンした。
イオンはこれまで、店舗を用いてネットスーパー事業に取り組んできたが苦戦を強いられてきた。
店舗と倉庫が一体となったネットスーパーのモデルは、ストック場所を共有できるというメリットはありつつも、在庫管理や配達スピードがネックとなってきた。
今回始まるGreen Beansでは、イギリスの大手ネットスーパー「Ocado(オカド)」と提携する。
オカドは世界中の小売企業にネットスーパー事業の中核となるテクノロジーを提供する英国企業で、倉庫を基点としたネットスーパー事業を成功させてきた。
今回の提携で、イオンはネットスーパー事業を軌道に乗せることはできるのか。また、20年以上の経験を持つオカドが見据える食料品の流通の未来とは。
オカドグループ創業者のティム・スタイナーCEOを直撃した。
Tim Steiner(ティム・スタイナー)Ocado (オカド)CEO/1969年生まれ。マンチェスター大学を卒業し、経済学、金融学、金融学の優等学位を取得。1992年債券トレーダーとしてゴールドマンサックスに入社。ロンドン、ニューヨーク、香港で8年働く。2000年ジョナサンファイマン、ジェイソン ギッシングと共同でオカドを設立。2010年にロンドン証券取引所上場。2020年のサンデー・タイムズ氏の長者番付でシュタイナー氏の資産は4億300万ポンドと推定されている。
INDEX
  • 日本=世界一「厳しい」市場
  • ネットスーパーが失敗する理由
  • 「アマゾン」に足りないもの
  • 10兆ドル市場を、豊かに

日本=世界一「厳しい」市場

──日本は世界でも有数の、ネットスーパービジネスの展開が難しい市場です。日本市場の特性をどのように見ていますか。