三井化学社長が語る「従来の発想では生き残れない」理由
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紫外線が当たると色が変わる。熱に強く、色やにおい、汚れが付きにくい──。見た目は同じでも、様々な機能をもつ、高機能プラスチック。産業用途では、強さと軽さを求められることが多い素材です。
でも、三井化学の研究者は、あえて金属を入れて、重いプラスチックを開発しました。それは「子どもが使っているプラスチック容器は、ごはんがおいしそうに見えない」と感じたから。
そこで、廃棄物の海洋ミネラル(金属)を加えて、陶器のような質感のプラスチックを開発。今、この素材が食器ブランドに採用され、人気を集めています。
実は、この素材、社内の部活動で開発されたもの。部活動に参加する3人の研究者に話を聞くと「研究者あるあるですが、自分の開発したものを世に送り出したいという思いがあるんです」と部活動に欠ける思いを熱く語ってくれました。
熱意や情熱に年齢は関係ありません。社員の可能性を引き出す自由な社風も、三井化学の復活の原動力だと感じました。
※記事では「中計問題」に加え、「実はすごい、プラスチックの可能性」を開発者のエピソードを交えて紹介しています。長期計画達成への戦略とシナリオがしっかり描けていて、一年ごとのPCDAサイクルが回せていること。これができていれば、中計は必要ないという考え方は、たしかに合理的ですね。
三井化学は、Vision2030に、ライフ&ヘルスケアソリューションとモビリティソリューション事業で製品売上収益比率の80%をめざすというコミット数値を掲げています。2021年は両方で40%弱だったのでこれらが主軸になるわけです。
素材提供からソリューション提供へ変わりつつあることがよくわかります。その道筋もインプット、ビジネスモデル、アウトプット、アウトカムでわかりすく整理されています。
これを一年ごとに検証していけばいいわけで、中計を作らねばならないものという発想に、とらわれることはないですね。組織を変えることは(ルールを作ることと同じくらい)簡単ですし、「やった感」があります。ただ、ここで指摘されているように、それだけで結果の出る企業はありません(そして、また組織を変えるということがよく起こります)。前回の記事でもあったように、社員の潜在力をどれだけ開花させるかがほぼ全てではないでしょうか。
ちなみに中計の研究を昨年からしていますが、「中計を作る」ことと「中計を発表すること」は別のことですし、また作り方に関しても考えるべきことはまだまだ多いのが現状です。アメリカで中計を発表する企業がほとんどないのは株主との軋轢を避けるためという点が多いようですし、逆にイタリアでは結構発表しています。「アメリカがこうしている」という表面的な話はそろそろやめたらいいと思います。