2023/5/28

【孤立の社会学】日常に潜む「人とのつながり」を断つ要因

米ニューヨーク・タイムズの名物ポッドキャスト「エズラ・クライン・ショー」。ホストのエズラ・クライン記者が、各界の第一人者とビッグイシューについてじっくり語り合う。
今回は、先週に引き続き、バーモント州のシャンプレーン・カレッジで、コミュニケーション論とクリエイティブ・メディア論の教鞭をとるシーラ・リミング准教授をゲストに迎え、現代人をむしばむ「孤立」について考察する
他の誰かと目的なしに「ぶらぶら過ごす(hang out)」時間が減ったことは、私たちにどのようなマイナス影響をもたらしているのだろうか……?
INDEX
  • ①若者が「孤立」する理由
  • ②リアルとネットは何が違うのか
  • ③AirPodsと「孤立」の関係
  • ④「手紙を書く」ことの効能
  • ⑤電話の「親密さ」を見直す

①若者が「孤立」する理由

クライン ここからは、「世代」の観点から孤立を論じたいと思います。
Cigna社(世界的な医療サービス企業)が発表した最近の調査結果には驚きました。66歳以上の高齢者と比べると、18歳から24歳の成人では、約2倍の人々が孤独を感じているそうです。
つまり、シニアで孤独を感じている人が41%いるのに対して、若者は79%もいるということですね。
8割近くの若者が孤独を感じているとは、言葉を失ってしまいます。パンデミックの影響もあるでしょう。しかし、若年層が高齢者よりも孤独を感じているという構造は、パンデミック以前から変わっていません。