【実録】モノ言いまくる株主が追い詰めたフジテック
- 会長と縁を切る
- 資産の質
- PBR1倍割れ
- なぜ1倍を下回るとダメ?
- ROEを高めるには
- 「分かりやすい」キャンペーン
- がらりと変わった環境
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掃除っていうと、かつて、日本電産の管理職の方が朝にトイレ掃除するってのを聞いた時が一番衝撃的だったなー。
今やってるかは不明なのと、社員に掃除させようといいんですけど、ちゃんと正しく給料払っていて、それが資本効率性として正しければね。。。
往々にして公私混同で不明瞭でしょうから、まぁそれが解消されるのは良きこと。
ちなみにROEってのを分解する時、私はこの数式の方が説明には好きかな。
ROE(%)=売上高利益率× 総資産回転率× 財務レバレッジ× 100
利益率が高くて、少ない資産でたくさん売上だして、財務レバレッジすなわちデッドファイナンスを活用する。
これがROE向上させるドライバーですよと。
売上高純利益率=当期純利益/売上高
総資産回転率=売上高/総資産
財務レバレッジ=総資産/自己資本
この計算式を簡略化すると
ROEが当期純利益/自己資本ってなるだけです。
全体としては悪くないのですが、途中のPBRとROEの説明が中途半端で、かえってわかりにくくなっている印象を持ちました。例えば、ROEをあげる一番の近道はレバレッジ、とくに低金利の日本では例えば2%で借金をして3%のROAでもROEは上がります(もちろんROAは高い方がいいに決まっている)。こういった視点から言えば「無借金経営」は実はあまりよくない。自社株買いもROEやPBRを高める要因になりますが、最近ではアメリカでも「経営者が無能でほかに投資する場所を見つけられないからだ」といった議論がでてくるようになっています。いずれにせよ、この辺りは別にしっかりと説明をする必要があると思いました。
ところで、資本コストを下回るビジネスを無限に切り離していったとき、そのビジネスは誰が担うようになるのだろう。日本株のリスクプレミアムは歴史的に7%くらいであり、普通のビジネスであればβはどうしても1.1くらいになるだろうから、そうすると、資本コストは8%くらいになる。だとすれば、やはりROE10%くらいは欲しいところで、それを下回るビジネスは切り離され、どこに行くのか。低収益ビジネスは非上場企業が担う感じか。それとも、ある低収益ビジネスをひたすら買収してスケールさせ、低収益ではあるが世界規模に残存者利益を得るビジネスにする感じなのか。はたまた、うまいこと他の低収益事業と謎の相乗効果が出たりするのだろうか。低収益ビジネスの10年後について気になる。
フジテックの話は、ガバナンスの話と資産効率の話の2つに分けて考えたほうがいいと思っている。
ガバナンスが効いていないから、株主共通の利益に資さない意思決定がされてきたという表裏一体部分もある。とはいえ、資産効率が高かったとしても、見出しのような話が報道含めて顕在化すれば、公的な存在である上場企業の経営者として適切なのかという論点は、代表取締役選任で当然出てくる。
本論の資産効率は
①余剰資産がないか
②資本構成が適切か
の二つに分けられる。①は記事にあるような余剰な資金や、メンテナンスにより注力して、単位資産からどれだけ稼げるかというビジネスモデルの話。
②は、会社のビジネスモデルから推測されるボラに対して「一定合理的な」資本構成になっているか。一般的には、安定的な収益が期待できれば資本はそこまでいらず、レバレッジを効かせればよく、逆に景気敏感で資本集約的な産業は、景気が悪いときでも継続できるように資本が厚めな方がいい。
ただ例えば米国は極端で、自己資本がマイナスな会社もある。Boeingとかは元々極めて薄い資本(Airbusとの2社寡占や受注が見えている、など)、でも737MAX+コロナで、自己資本マイナスになっている。Philip Morrisも同様だが、タバコの規制が厳しくなっていく中では個人的にはリスクがある財務をしているなぁと思う(とはいえ、リスクが急に厳しくならない部分はあり、CFはあるので、戻そうと思えば2年くらいあれば戻せるという状態を常に維持)。
ROICと呼ばれて、税引き後営業利益を自己資本+有利子負債で割ったものがある。個人的には個々の企業が自社のROICとWACCを適切に考えているかは目安として見ている。
WACCは計算式はあるのだが、時価総額から計算するので、PBR1倍割れで安定業態かつ資産価値だけで評価されているような企業だと、異様に低いことがある。ただ業界平均よりも異様に低くなるので、ここらへんをトータルして「ちゃんとファイナンスを理解して、資本構成に意図をもってやって、結果を出せているか」が全てだと思っている。
なお、商社もトヨタもPBR1倍近傍なのだが、下記でコメントしたように、個人的にはこれは意識はしていても確信犯だと思っている(そして実績を出している)。
https://newspicks.com/news/8428744
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