2023/5/8

【最新脳科学】ドーパミンがあなたの行動を決めている

NewsPicks 記者
記憶し、考え、行動する。動物のあらゆる営みを支配している器官「脳」。
脳は1000億個もの神経細胞(ニューロン)が複雑に絡み合って構成されており、神経伝達物質をやり取りするネットワーク(神経回路)の仕組みが、私たちの次の行動を決めている。
例えば、ある行動によって「ドーパミン」と呼ばれる神経伝達物質が脳内で放出されると、私たちは快感や多幸感、意欲を感じ、再びその行動をしようとする。
これはネズミなどの動物でも同じらしい。
70年前にカナダで行われた実験に次のようなものがある。
ラットの脳のドーパミンを放出するニューロン、すなわちドーパミンニューロンが存在する部分に電極を挿し込む。そしてレバーを押すと電気が流れて細胞が刺激され、ドーパミンが放出される。
ラットにレバーの操作を覚えさせると、ラットはずっとこのレバーを押し続けるのだ。
これらの研究から、ドーパミンは「快楽物質」と呼ばれるようになり、ドーパミンニューロンが関わる神経回路は「報酬系」と呼ばれるようになった。
ところが、最近ではドーパミンは単に快楽を与える物質ではないことがわかってきた。
ドーパミンは私たちのモチベーション維持や将来予測、意思決定にも関わっているというのだ。3人の研究者による、ドーパミンをめぐる最新の脳科学を紹介しよう。
INDEX
  • 「期待外れ」を乗り越える
  • 予測して備える
  • 「価値判断」から「選択」へ