飲む中絶薬製造販売の承認を了承 国内初の経口中絶薬 厚労省分科会
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パブコメが多数集まったために延期されていた審議が先ほど行われ、経口中絶薬が承認されました。中絶方法の選択肢が増えたことはよいことです。
ただ、これまでのメディアやSNSでの捉えられ方を見ていると、「中絶手術は危険、内服薬は飲めば負担なくスッと中絶できる」と誤認されている印象があり危惧しています。
日本における中絶手術は安全に行われており、麻酔下に意識のない間に10分程度で中絶が完了します。もちろん合併症のリスクは伴いますが、巷で思われているような、女性の体を痛めつけるような危険な手術ではありません。
経口中絶薬は、中絶つまり子宮内の胎児や妊娠組織を体外へ人工的にだす、ということを手術ではなく経口薬で行う、ということなので、内服したあとに、意識がある状態で、出血や腹痛を伴いながら、妊娠組織がでてくることに1人で向き合うことになります。身体的にも精神的にも、必ずしも手術より負担が軽いとはいえません。
手術も内服薬もそれぞれのメリットデメリットが正しく説明、理解された上で選択されないと、こんなはずではなかった、、と女性がトラウマを抱えることになりかねません。
そして、経口中絶薬という選択肢が増えても、望まない妊娠を避けることは大前提です。この機会に、避妊についての意識と正しい知識を含めた包括的性教育が普及することを期待します。倫理の観点から、さまざまな議論があったと思いますが、実現したことを素直に喜びたいと思います。
個人的な意見としては、妊娠中絶を希望するという判断に至るまでにはそれぞれ、それなりの理由を抱えており、誰しもが望んで決断しているのではないと思います。
もちろんそういった事象自体をなくすべきだという意見も最もだと思いますが、少なくともすでにいらっしゃる苦しんでいる方に薬が使える様になったという事については、喜ばしい事だと思います。
ゼロコロナ政策の様な、様々なリスクを限りなくゼロに近づけるという発想ではなく、必要としている人がいるという方向にも焦点があたり、実現されたのは大きな一歩だと思います。黄体ホルモンの働きを抑える「ミフェプリストン」と、子宮を収縮させる「ミソプロストール」の組み合わせをセットにした薬剤は中絶目的に設計されたホルモン製剤の「組み合わせ」で、ともに単剤では新しい医薬品ではありませんが、この組み合わせで、多くの国で中絶目的に使われていると思います。避妊・中絶目的医薬品で遅れていた日本での選択肢が増える点については朗報だと思います。
これら医薬品の組み合わせでの使用は月経不順などの疾病に使う目的のものではありません。医薬品は疾病治療に用いるものという行政当局の考え方（ワクチン以外の予防目的薬で承認を出すことには極めて慎重）と医療業界団体からの反対が強く、日本の製薬業界関係者はおそらく半ばあきらめていました。
新型コロナワクチン承認のプロセスで、海外で認められた医薬品について世界での臨床試験データが十分にあることを条件に、追加試験なしで国内使用に向けた承認をするようになり、海外で実績がある企業は「日本での承認申請をする絶好のタイミング」と考えていると思いますが、実際にそのような動きになっています。
女性ホルモン剤の発売時期は早く、日本でも1960年代には月経不順や更年期障害の治療目的に販売されています。世界では1970年代から「低用量ピル」が避妊目的に発売されました。その後、日本で女性ホルモンを扱う製薬企業は承認に向けて相当に努力したものの、この時も医療関係団体からの反対が強く、申請できる土壌が長年作られませんでした。そのような理由で「低用量ピル」の「避妊」への承認取得は1999年まで実現しませんでした。
女性ホルモン製剤の「避妊」の用法に関して、日本は世界でもっとも遅い部類の承認でした。現在この医薬品は、医療機関で医師の診察を受け、医師が必要と判断した場合に限り入手することが可能です。緊急に服用する必要があるにも関わらずその判断に医師の診察が必要な状態になったままですが、上記の点についても他国に倣って、処方箋なし（＝医師の診断なし）での薬局販売を認めるような方向で議論されています。
「『緊急避妊薬』処方箋なしの薬局販売 本格的な議論始まる」（NHK 2021年10月4日）
https://newspicks.com/news/6240162?ref=user_1310166
