[5日 ロイター] - スイスの金融大手クレディ・スイスの長年の大株主だった米運用会社ハリス・アソシエイツは、過去数カ月で保有株を売却した。ハリスのデビッド・ヘロー副会長兼最高投資責任者(CIO)が5日、明らかにした。

ヘロー氏は売却の理由を明かさなかったが、先に英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)に、持続的な損失や顧客流出を食い止めるための同行の戦略に対する忍耐を失ったと話していた。

ハリスは昨年8月にクレディ・スイス株を約10%保有していることを明らかにしたが、保有比率は今年1月には5%に低下した。

ヘロー副会長がFTに語ったところによると、ハリスはクレディ・スイスが40億スイスフラン(42億7000万ドル)の増資を実施した昨年10月に株式保有を縮小し始めた。

ヘロー氏は同行の将来に疑問を呈し、ウェルスマネジメント事業から大量の資金が流出していると指摘。「われわれには投資先の選択肢が他に多くある。金利上昇は多くの欧州金融機関が反対方向に向かっていることを意味する。他行が資本を生み出しているときに資本を燃やしている銀行になぜ投資するのか」と述べた。

クレディ・スイスは2022年第4・四半期に1100億フラン以上の資金が流出したと先月発表。22年通年の決算は08年の金融危機以来の大幅赤字となった。

同社は収益性回復へ向けた抜本的事業再編に着手。投資銀行部門CSファースト・ボストン(CSFB)の分離・独立も含まれる。

クレディ・スイスはロイターに対し、計画を前倒ししており、明確な戦略目標を持っていると説明。「全てのステークホルダー(利害関係者)に持続可能な価値を確実に提供するため、計画を着実に実施し、目標に向け突き進むことに集中している」とした。

*報道内容の確認を踏まえ再構成しました。