米中外交トップが会談 気球飛来発覚後初めて
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ブリンケン国務長官から王毅氏に告げたことは、主に2点、
① 偵察気球の侵入事件を再発させないこと
② ロシアへの戦略物資の供給(貿易)を止めること
です。
これらが継続されれば、中国は「その結果を受け入れねばならなくなる」ことを対面で直接警告することに意味があります。
どちらかというと、②の方が、今の世界に大きな影響があり、中国政府にむずかしい選択を迫るものです。
また、ブリンケン国務長官は、この会談において、北朝鮮の大陸間弾道弾発射実験を非難し、このような実験に対して国際的に一致して対応するように促しました。
https://www.state.gov/secretary-blinkens-meeting-with-peoples-republic-of-china-prc-director-of-the-ccp-central-foreign-affairs-office-wang-yi/双方がそれぞれの主張を展開し、相互に非難するという平行線の会談でした。内容もそうですが、発表の仕方に本件に関する米中のスタンスの違いがにじみ出ています。
米国務省が「ブリンケンと王毅が会談した」と発表した一方、中国外務省は「米国側の要求に応じる形で、王毅とブリンケンが非公式に接触した」と発表。トーンや扱いはかなり異なります。要するに、中国側は、あくまでも米国側が会いたいというから会ってやったという体裁にしたかった。もちろん、中国側もこの会談を何としても実現し、米中関係を決裂させたくなかった。ただ、そのためには「非公式接触」(正式会談ではなく)という位置づけが国内政治的に限界だったということでしょう。偵察用気球は分かりやすい形なので話題を生みましたが、スパイ活動は米中ともに(というよりも大抵の国が)日常的に行っています。例えば、気球がダメで偵察衛星が許される理由は大気圏の外(すなわち領空の範囲外)というだけであり、本質的にやっていることは変わりません。
これまではおそらく、気球の発見・撃墜にはコストが大きかったので黙認されて来ましたが、アメリカ側の事情が変わり、そのコストを払ってでも問題提起したいという意図により、報道・撃墜されたのでしょう。背景としては、アメリカが中間選挙以降のねじれ議会の中で、超党派で団結できるのが対中強硬姿勢くらいになっているということが挙げられます。
スパイ活動が発覚した際に、暴いた側はそれを非難しますが、暴かれた側はとぼけるのが定跡です。会談したところで平行線をたどるだけであり、そしてやがて関心の薄まりとともにフェードアウトして行くでしょう。