2023/1/29

【独占】僕は「生命をつくる」ためにこの技術を開発した

NewsPicks 副編集長 / 科学ジャーナリスト
1月初旬、アメリカのバイオテック、モデルナが、日本の大学発ベンチャー「オリシロジェノミクス」(東京都文京区)を110億円(8500万ドル)で買収すると発表した。
モデルナのステファン・バンセルCEOはプレスリリースで、オリシロ社が持つDNA合成・増幅技術について「最高水準のツール」であり、「当社の研究開発エンジンをさらに加速させる」とコメントした。
新型コロナウイルスのワクチンの開発・製造で急成長を遂げたモデルナにとって、これが創業後、初めての企業買収となる。
モデルナが切望したのはどんな技術で、いかにして生まれたのか。
注目の技術を開発した末次正幸・立教大学教授の独占ロングインタビューをお届けする。
INDEX
  • セントラルドグマを再現する
  • 無細胞でDNAがどんどん増える
  • 越えなければいけない壁だった
  • 「生命をつくる」二つの戦略
  • モデルナからの打診は「嬉しかった」
  • 革新的な技術はどこで生まれるか

セントラルドグマを再現する

──ご専門は合成生物学ですね。大学ではどんな研究を。
末次教授 僕は、「生命をつくる」とか「細胞をつくる」ことを目指して研究しています。そのためにはまず、「生命とは何か」を定義しないといけない。
生命の条件は何だと思いますか?
まず、自己複製するという絶対必要な条件があります。でもそれだけなら、ロボットやコンピューターでもできる。