エーザイ認知症新薬、日本で申請 「レカネマブ」年内承認目指す
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アルツハイマー型認知症薬「レカネマブ」は、2021年に米国で承認を受けたアルツハイマー型認知症薬「アデュカヌマブ」と同じエーザイー米バイオジェンの企業チームによって研究開発されています。2023年1月に米国で薬事承認され、先週欧州医薬品局への薬事申請を行ったことが報じられています。
先行の「アデュカヌマブ」は患者団体が熱望したものの、承認審査に当たった科学者からの反対意見も多く寄せられ、一部科学者が審査委員を辞任する騒動に発展しています。「アデュカヌマブ」の薬剤費は日本円換算で年間700万円ほどに設定されており、患者数も多いことから、米国では「民間保険会社の多くがこれを扱わない」という極めて異例な事態になりました。その結果、実質的な使用が極めて限定されています。(注:米国での医薬品価格は製薬企業が自由に設定します。この医薬品は抗体医薬品のため製造コストが極めて高額という性格を有します。)
欧州は米国で認められた「アデュカヌマブ」を極めて異例ながら承認せず、日本は「病気の原因となるアミロイドβ自体であることにいまだ疑問が残る」との含みを残して判断を先送りにしています。
エーザイー米バイオジェンの共同チームは、米国での「レカネマブ」の薬剤費を「アデュカヌマブ」の半分程度に設定し、今後は「レカネマブ」の方に力を入れる計画です。企業としては保険適応を含めて医薬品として承認を目指しますが、保険会社(日本のように保険機能を国家が有している場合には国家)としてこれを全面的に受け入れた場合のコストが莫大になることはわかっているため、今後どのような決着がつくのかの予想は難しいと思います。
その結果に影響を受ける世界での売上額は、保険会社や国家の財政判断の方向性により、上に行けば「兆」単位、下に行けば2,3桁億円と思われ、極めて幅の広い範囲でしか予測できません。先行して承認した米国は、使える薬剤の指定として国家が行うものの、保険の支出は主に民間保険会社のため、民間保険会社の判断が売り上げを左右します。
米国で製薬企業が望む価格をつけて販売後、日本の薬価制度のルールでその価格を参照した価格を日本でも得ることが、製薬企業の防衛策となっていると思います。日本では制度上、月の上限が数万円程度以上の医療費は全額の公的保険負担になりますので、選択肢が増えるなら患者さんには朗報でしょう。レカネマブについては、コメントの長さではとても語りきれませんので、別途トピックスにまとめました。ぜひトピックスの以下の記事をご覧ください。
https://newspicks.com/topics/yuji-yamada/posts/54
白か黒かのような安易な議論や感情論では間違います。多くの皆様に正しい理解を持っていただく必要があると思います。