(ブルームバーグ): セブン&アイ・ホールディングスが、傘下の百貨店子会社そごう・西武を米投資ファンドのフォートレス・インベストメント・グループに2000億円を上回る金額で売却する方針を固めた。早ければ10日にも発表する。

事情に詳しい複数の関係者が、匿名を条件に明らかにした。関係者らによると、フォートレスは家電量販店を展開するヨドバシホールディングスと連合を組んでおり、買収後にヨドバシカメラが旗艦店舗に出店する方向で調整している。売却については、10日に開催される7&IHDの取締役会で協議される見通し。

協議は最終局面にあるものの、売却交渉が不調に終わる可能性も残っている。7&IHDの広報担当は、従来通りグループ戦略の評価を継続的に行っていると述べるにとどめた。フォートレスの広報からは時間外のため回答を得られなかった。

そごう・西武の売却を巡ってはフォートレスが優先交渉権を得たと7月に報道された。7&IHDの井阪隆一社長は先月6日の決算会見で、売却先候補と成長に向けた議論を詰めていると述べ、交渉中であることを認めていた。

そごう・西武のウェブサイトによると、同社は江戸時代の1830年に大阪で開業した「大和屋」が源流となる老舗百貨店。3月現在の店舗数は西武池袋本店、そごう横浜店、そごう千葉店など10店舗。

そごうは2000年7月に民事再生手続き開始を申し立て、経営破綻。一方の西武百貨店は03年に主力行などに債権放棄を要請するなど経営難に陥った経緯がある。両社は03年6月に経営統合、06年6月に7&IHDの子会社となった。

7&IHDの株主である米アクティビストのバリューアクト・キャピタル・マネジメントは今年2月、同社の収益向上案を公表。百貨店事業について、中核のコンビニエンスストア事業の足を引っ張る非中核事業の一つだと指摘し、撤退を求めた。7&IHDは4月、そごう・西武について株式売却を含む戦略的な見直しを始めたことを公表した。

(更新前の記事で第4段落の社長名の漢字を訂正済みです)

(第5段落以降にこれまでの経緯などを追加して更新します)

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