2022/11/21
【保存版】どうやる? 環境と経済を両立させる“ビジネス”のチカラ
いま、なにが変わろうとしているのか
「環境」への負荷を減らしながら、「経済」を発展させる。対立しがちだったふたつの課題を両立させていく。これが、いま世界が取り組んでいるパラダイムシフトだ。
大きな話だけでは捉えどころがなく、かといって細部を見るとさまざまな関係が絡まり合って、ひとつの企業の取り組みでは、なにも変えられないように感じてしまう。
たとえば、いま世界各国が掲げているCO2排出削減目標をすべて達成したとしても、2050年のカーボンニュートラルには届かない。
気候変動問題の解決には新しい技術革新や事業開発が欠かせないが、いまの研究・開発が実を結ぶかどうかもわからない。成果が見えるのは30年後だったりする。
こんなスケールの大きな問題に、企業やビジネスパーソンはどう取り組めばいいのだろうか。
素材は、どう社会を変えてきたか
人は歴史のなかでたくさんのイノベーションを起こし、限界を乗り越えてきた。これまでのやり方でうまくいかないのなら、経済や社会のシステムを組み替えるための「新しい材料」が必要だ。
私たちの暮らしや産業、社会はすべて、「もの」で構成されている。デジタルの情報だって、人とのインターフェースやインフラは、物理的な「素材」でできている。
その素材の機能や性能を極限まで追求し、長期にわたって継続的に改良し、ときには複数の要素を融合させることで、よりよい解決策を生み出していく。
見えないところから少しずつ、着実に、できることを増やしていく。素材メーカーの東レが90年以上にわたって取り組んできたのは、こういうことだ。
「循環」を生む新素材
気候変動や世界人口の増加、水や食料、エネルギー・資源の不足……こうした地球規模の課題にも、技術革新や先端材料によって、新しいソリューションが生まれている。いまの社会や産業も、このような技術の進化によって支えられてきたのだ。
人口増と都市化により、世界各地で深刻化している水資源の問題には、海水を飲用水や産業用水に変える新しい造水設備が活用されている。ろ過膜などの素材性能が向上すれば、この新しい水源はもっと大きくなっていくだろう。
世界各国が具体的な目標を定めて取り組み始めた気候変動問題でも、CO2削減とエネルギーの安定供給を両立させる、新しいモデルの検証が始まっている。
山梨県・東レ・東京電力HDの共同プロジェクトでは、太陽光発電電力からグリーン水素を製造し、地域の産業で活用する「CO2フリーエネルギーの地産地消」を目指している。
革新的な製品は、新しいバリューチェーンを構築する。製造効率を上げてコストを下げ、安定的に供給し、それを使いこなせるようになったときに、技術は加速度的に広まっていく。
クリーンなエネルギー、循環型の社会や経済の新しい仕組み。こういったイノベーションを社会に広く普及させるには、ビジネスの駆動力が必要だ。
課題を「成長機会」と捉えよう
ひとつの事業を立ち上げるだけでは、目に見えるような変化は起こらない。だが、国、企業、個人が協力して新しい産業やエコシステムを創出できれば、新たな循環が生まれる。
地球環境やサステナビリティは、いまの時代における世界共通の課題だ。社会が抱えている課題を解決し、各所で芽吹いたイノベーションをつなぎ合わせることで、経済やビジネスはこれからもっと発展する。
さまざまな産業領域や企業活動のなかに、やるべきことは無数にある。
「Innovation by Chemistry」を掲げる東レにとっては、技術を追求し、次の産業や社会の礎となる「素材」を生み出すこと。
あなたが携わるビジネスからは、どんな変化を起こせるだろうか。
※本記事は、NewsPicks Brand Design×東レの連載シリーズ「世界をつくる『素材』の最先端」および「地球環境へのR&D」をもとに構成しました。記事中の役職・部署名はインタビュー当時のものです。
イラスト:小泉由美
デザイン:田中貴美恵
編集・執筆:宇野浩志
セールスプランニング:原木 舞