2022/9/25

【体験記】ウクライナ難民支援の「最前線」で見たもの

2022年2月に始まったロシアによるウクライナ侵攻。ロシア政府は部分的な「動員令」を発動して戦力の拡充を表明するなどしていて、戦争が終わる糸口は見えません。
その中で、難民としてウクライナを出た人たちは今どのような生活を送っているのでしょうか。
実は日本からは、ヨーロッパで難民支援のボランティア活動が行われています。日本財団ボランティアセンターは5月から定期的に活動メンバーを送っていて、今月参加したのが、南山大学2年生の永戸志弥さんです。
実は、NewsPicks編集部インターンをしており、ぜひ読者に現状を知ってほしいとの思いから体験談を書いてくれました。
今週、ウクライナの隣国ポーランドとオーストリアで2週間にわたり難民を支援する活動をしてきたばかりです。
特集「親子で学ぶ難民問題」2話目の本日は、大学2年生が目にした難民問題のリアルな様子や感じたことをお届けします。
INDEX
  • 薄れていく報道
  • 駅であふれかえる人たち
  • 惨劇は続いている
  • 子供に残る、戦争の記憶
  • 逃げても厳しい現実
  • 私が思う「日本ができること」

薄れていく報道

2月にロシアがウクライナへの戦争を始めると、日本のテレビでも一斉にこのニュースが報じられた。大学生の私も、この戦争に興味を持って報道を追った。
ただただ無残に破壊されていくウクライナの街。残虐に拷問され、殺されていく市民...。しかし、正直に言って、当時この戦争を身近に感じることはできなかった。
何か役に立ちたいと思い、少額ながら寄付をしたこともあったが、ウクライナの現実は、自分の周りでは起きないことで、これを身近に感じることはできなかった。
写真:Anadolu Agency / Getty Images
そんな中、戦争はどんどん長期化していった。戦争の開始から約8カ月が経った今、当初に比べると世界の関心は薄まり、報道の量も減ってきている。しかし、今も戦争が続き、難民が発生しているのは事実だ。
私は高校生の時から災害の避難所の運営支援に関心を持ち、ボランティアをした経験もある。また、大学でも移民に対する支援や多文化共生について専攻して学んでいる。
だから、ウクライナから1000万人以上も発生してしまった難民に対して、各国がどのような支援を行っているかや、その現場がどうなっているのかにとても興味があった。
それに、こうした領域なら、大変な思いをしているウクライナ難民の方々の役に立てるかもしれない。その思いから、私は日本の公益財団法人が展開しているボランティア活動に応募し、ウクライナ周辺の国々の難民支援施設で、支援にあたることになった。

駅であふれかえる人たち

まず、私が向かったのはウクライナとポーランドの国境にあたるプシュミシルという町の中央駅だ。この駅は、ウクライナと電車でつながっているため、ポーランドに入る難民はまずここに降り立つケースが多い。