2022/8/28

【核心】日本企業が、アフリカで稼ぐために必要なこと

NewsPicks 編集部 記者・編集者
あまりにも強い「アフリカ愛」を持つ会社がある。
豊田通商。トヨタグループの中核会社の一つで、グループの商社として自動車関連の素材調達などの役割を担う。そして、トヨタ自動車のアフリカでの販売を担う企業でもある。
アフリカ事業の歴史は古く、始まりは100年前にさかのぼる。1962年にはケニアに事務所を開設し、東アフリカを中心に展開してきた。だが、欧米企業に比べれば後発組だった。
2012年、豊田通商は大きな賭けに出る。フランスのアフリカ専門商社、CFAO(セーファーオー)の株式を2300億円で取得した。同社にとって最大規模の買収だった。
1852年からアフリカで幅広く事業展開するCFAOを傘下に収めたことで、事業範囲とエリアが一気に拡大した。
2019年にはトヨタ自動車からアフリカにおける自動車営業の業務を全面移管し、自動車の生産から販売までを豊田通商が担うようになった。
現在、アフリカ54カ国すべてで事業を展開する。2021年度はアフリカ事業の売上高が初めて1兆円を超えた。
豊田通商はどのようにしてアフリカを攻略してきたのか。アフリカ事業に長く携わってきた貸谷伊知郎社長を直撃した。
INDEX
  • 「いつかはランクル」
  • 現地生産は一筋縄では育たない
  • アフリカのMaaSがおもしろい
  • 買収で得たリスク管理術
  • こんな駐在員には帰国してもらう

「いつかはランクル」

──2021年度にアフリカ事業の収益(売上高)が初めて1兆円を超えました。
貸谷 豊田通商は連結従業員が6万5000人いるのですが、アフリカ関連の従業員は2万2000人で、3分の1を超える人間がアフリカにコミットしています。
商社はいわゆる、石炭などの資源を買って大きく儲けるイメージがあるかもしれませんが、当社のアフリカ事業の売り上げは、車1台、ボールペン1本、ビール1本を売って、積み上げた1兆円です。
──トヨタ自動車から2019年にアフリカでの営業業務を移管されてから3年になります。足元のアフリカの自動車市場は。