経済安保担当相に高市氏 内閣改造・党役員人事固まる
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岸田政権においては、安倍氏が代表していたコア保守層をどうまとめていくかが課題でしたが、そこで目をつけたのが安倍氏の信頼が厚かった萩生田氏と高市氏だったのでしょう。
旧統一教会との接点の関係で、国会で一定の追及を受けそうな萩生田氏を経産相から党務の要職である政調会長にスライドさせ、政調会長の高市氏を閣内に移す。しかも、高市氏の担務を対中政策に絡む経済安保担当とすることで、岸田政権につきまとう「親中」の見方を中和するということも可能になります。
どの政党も右派と左派のような幅があり、その両極に神経をとがらせながらマネジメントする必要があります。自民党の場合は、安倍氏への依存度が高かった分、工夫が必要でした。人事をみる限り、うまいバランスをつくることができたのではないかと感じます。中庸を重んじる宏池会らしいさばきです。経済安保担当に高市さん。これは思ってもみなかったはまり役の抜擢です。
経済安保法案が成立するところまでの段階は小林鷹之大臣のカミソリのような切れ味が力を発揮しましたが、次の実動フェーズに入ると、カミソリよりナタを振るう腕力と胆力が必要。高市さんはまさに適任です。経産大臣、総務大臣、党三役を歴任した人物を無任所大臣に起用するなど、事実上の降格と言わざるを得ないですね。
単に役職からはずしたら、ご本人はともかく、支持者や周りから不満が出るでしょうから、ご本人が尽力されてきた分野で起用したように見せかけているのでしょう。
しかし、実質的な権限や、予算、人員が無い無任所大臣として起用するくらいなら、経産大臣と兼任させるべきでしょう。それこそ、人物の無駄使いにしか見えません。
【追記】
わりと好意的な受け止め方も多いようですので、若干追記しておきます。
高市氏は、岸田総裁にとっては、次の総裁選の対抗馬で間違いないでしょう。その高市氏を党内で形式的な役職に就けておくと、自由な言動ができてしまいます(そこが自民党の良い面なのですが)。
しかし、高市氏を閣内に取り込むと、閣内不一致にならないために、内閣の方針に従わせられます。さりとて、ヘタに重要閣僚に起用すると、今度は活躍される可能性も出てきます。
そこで、権限・人員・予算が事実上ない無任所大臣として起用することで、活躍の機会も制限されます。つまり。今回の起用は、言動と活躍の機会を大幅に制限するためのもの、いわゆる「飼い殺し」とも受け取れます。
これは、かつて安倍元総理が石破茂氏を地方創生担当大臣に起用した手法と、よく似ています。私自身は、河野太郎氏をデジタル担当大臣に起用したのも、同様ではないかと睨んでいます。
ある意味で非常に「巧妙」な人事ですが、それが国民のためになるのか、といえば…
…という見方もできます。