2022/8/7

不動産テックで、日本の不動産の注目度は上がるか

NewsPicks 編集部 記者・編集者
今年5月、不動産取引の電子取引が解禁になったことをご存じだろうか。
これまで不動産取引では、対面で、紙の契約書の取り交わしが必要だったが、宅地建物取引業法の一部が改正されて、非対面で、オンライン上の手続きで行うことができるようになった。
2015年に不動産取引に必要な重要事項説明をネット上で行う「IT重説」の社会実験を始めたのを皮切りに、長らく検討されてきた「ネット不動産」がいよいよ実現する。
おうち探しから契約締結まで、オンラインで解決するようになるわけだ。
これに合わせて、不動産業界ではVRやAR、メタバースなどを活用した様々な取り組みが始まっている。
ネット不動産の解禁は、不動産取引をどう変えるのだろうか。この動きに反応して大きくビジネスモデルを変えようとしている、投資用マンションデベロッパーのシーラテクノロジーズの杉本宏之会長兼グループCEOに聞いた。
2000年代はじめにマンション開発で成功し、一躍時代の寵児となったものの、リーマンショックで破綻に追い込まれた過去を持つ杉本氏は、今の市場をどのように見ているのだろうか。
INDEX
  • 建築費値上がりが深刻化
  • 円安で割安な不動産を海外に売る
  • 「囲い込み」問題は解消する?
  • アメリカでの株式公開を目指す

建築費値上がりが深刻化

──あらゆるモノの値上がりが話題ですが、不動産も建築資材の価格高騰や人件費の上昇などにより、価格上昇が続いてきました。マンションデベロッパーにはどんな影響が出ていますか。
杉本 もう大変です。1年半前から建築費が22%くらい上がっていて、デベロッパーの利益を圧迫しています。
上昇した分の建築費を価格に転嫁すると、売れ行きが悪くなり、利益率が下がります。向こう2年くらいでデベロッパーがバンバンつぶれると思いますよ。
当社の場合は、設計からデザインから建築、建物や賃貸の管理まで一気通貫でやっているので、建築費の上昇を10%程度に抑えて利益を維持できていますが、「来期はほとんど利益が出ない」と漏らすマンションデベの経営者もいます。