ヨーロッパ中央銀行 11年ぶり利上げ インフレ抑え込みへ
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まず事の経緯を整理しますと、5/23に「ブログ」で求められもしないのに「25bps」と予告しました。2週間待てば正式会合があったのに、です。
その上で6/9に定例会合、そこから1週間もしない6/15に緊急政策理事会を開催して分断化対応をやります(具体策を出さず)と意気込みを宣言しました。6/9にも7月は+25bpだと念押ししています。
そして7/19、会合2日前になってやっぱり「50bp」かも?という思惑が関係者談として流れ始めました。6/9から7/19の間に何があったのかというのは正直疑問でノルド1も結局再稼働していることを踏まえると余計にこの2か月のドタバタ感が際立ちます。
なお、50bpは分断化対応を嫌気するドイツへの譲歩という意味合いもなくはないと私は感じています。1990年代から前面に出てきた「金融政策の透明性」の議論の本筋は「政策反応関数の透明性」、すなわち、中央銀行がどういう状況でどのような行動を採るのかを透明にする、ということでした。ただ、近年これが、「金利を何%上げるのかを事前に言うのが透明性」といった、やや妙な方向にスライスしている面もあるように感じます。
言うまでもなく、こういう政策運営はむしろリスキーな面があります。先行きの予見が難しいからこそ、現実の経済の中で生身の人間が毎回集まって合議制で政策を決めている訳です。避けがたい不確実性の中で安定を実現することがマクロ政策の根幹ですし、今回のECBの事例などが、有益な透明性の議論につながっていけば良いなと思います。
とはいえ、ECBにとっては、(ちょっと面倒な新プログラムを入れてでも、)不人気だったマイナス金利政策からExitできたことは、歓迎する向きが多いかもしれません。