【意外】スタートアップ投資、堅調な理由を徹底分析
- 上場延期組が大型調達
- 人気が集中
- 大型調達支える海外勢
- 調達額トップはリーガルフォース
- ユニコーン11社
- ファンド設立は減速
- IPO、時価総額に影響
上場延期組が大型調達
人気が集中
大型調達支える海外勢
調達額トップはリーガルフォース
ユニコーン11社
ファンド設立は減速
IPO、時価総額に影響
編集:大酒丈典
デザイン:石丸恵理
「スタートアップ冬の時代」の声が高まっていますが、数字面で見ると調達額自体は昨年の半分強です。北米が如実に減っている状況と比較すると、上場グロース株軟調の影響は限定的にも見えます。
ただ記事中にもある通り、IPO延期を迫られた会社の大型調達があったこと、また調達総額の統計により大きな影響を及ぼすレイトステージの大型調達はリードタイムがかかることもあり、昨年来から続いていた調達の結果が今年になって数字に反映されているといった背景もあるように感じます。
この点、数字面により実態が反映されるのは下半期になると思いますが、現状においては「予断を許さぬものの、想定されていた程の劇的な影響は現段階において生じていない」という判断になるのかと思います。
加えて、投資の現場感としては海外のクロスオーバー投資家の急速な減少を感じる一方、国内投資家だけでも二桁億半ばのラウンドが組成できたという点では、日本のレイトステージ調達環境が整ってきた証左でもあり、ポジティブな発展と言えるのではないかとも思います。
2021年のスタートアップ資金調達規模上位20件の内、12件は海外投資家主導。
海外投資家はどうしても市況の影響をより受けやすい点を鑑みると、レイトステージでリスクマネーが安定供給されるためには、国内の大型プレイヤーの増加が必要なのではないかと思います。
以上の所感を踏まえつつ、8月にはこちらのレポートを基にしたINITIAL恒例のオンラインセミナーが開催されます。森さんと一緒に、私も資金調達動向の読み解き、解説に参加しますので、ご興味ある方はご参加ください。無料です。
https://initial.inc/events/20220818
2022年上半期の日本国内スタートアップの資金調達の速報です。
株式市場でテック株へ影響が大きく、スタートアップの二大市場である米国と中国の資金調達状況は、Q1から2021年比減少が目立つと数々報じられていました。
日本は蓋を開けてみると、2022年の出だしは2021年を上回る勢い。
これは、IPO延期組の大型調達や昨年後半に既に調達が決まっていたものが実行、新規調達で説明されるように思います。
とくに10-50億円のレンジの調達額の伸びが大きく、その主体はシリーズBとシリーズCの設立から4-5年のスタートアップです。選別の段階が進んでることを窺わせます。
背景に、大型調達を支えていたVC-海外の割合が下がっていなかったことが上げられます。留意点として、本文中の10億円以上の資金調達に紐づくVC投資の内訳「VC-海外」には、ソフトバンク・ビジョン・ファンドが含まれます。
ビジョン・ファンドは大型投資をするのでその分だよね、と言われるかもしれませんが、仮に120億円程度の投資をしていたとしても、その分を差し引いたとしても「VC-海外」の金額割合が最も高いままです。
もちろん、姿を見せなくなった海外勢もいます。わかりやすい属性がPEやヘッジファンド。
この他で特徴的だったのは大学発が好調な点でしょうか。こちらは8/5にINITIAL(https://initial.inc/)から公開予定のレポートでご確認いただけます。
懸念点はファンド設立の滑り出しが鈍いこととM&Aの規模です。大型イグジットとしてのM&Aは過去から指摘されている部分ですが、下半期はそこが鍵になると思います。
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8/5(追記)本日以下のURLでレポートを公開しております
https://initial.inc/enterprise/resources/japanstartupfinance2022h1
海外投資家が多く見えるのは4月ぐらいまでの投資はギリギリ実質去年決まった資金張達も含まれ、上期は実態の変調が表れきってないから。下期はよりダイレクトに数字でその変化が見えるはず。
下期に向けては、シリーズBぐらいまでは調達環境は悪くなく、バリュエーションの低下と一件当たりの金額の頭打ちが見えてくる。
レイトステージはバリュエーションのアンマッチがネックでIPOマーケットの代替としての機能は一部のみしか機能しない。IPOから振替で引き続きレイトステージへの資金供給は進むが、エコシステム全体で見るとIPO後も含めた全体での資金供給量は減少する可能性が高い。
その拡大する資金ニーズとのギャップを埋めるのはM&A。この環境下ではリスクが高過ぎる会社ではなく、一定PMFしたミドルリスクの会社。いよいよそこそこの規模の買収や再編が日本でも見られ始めるか注目したい。
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