半導体ブームに陰り、仮想通貨とPC販売で逆風
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注目のコメント
減速は、仮想通貨とPC販売だけが要因ではない。
まず、在庫循環図としては、改善方向に進んでいた(①)。また同時期にスマホ需要の落ち込みなどから、村田やTDKなどが投資計画を見直している(②)。
4月くらいには、いよいよPCの最終メーカーでの下方修正が始まった(③)。なお、こういう場合は大体その前から部品メーカーでの生産・在庫コントロールは始まっているし、その半年ほど前の時点での村田やTDKの動向は、すそ野が広い電子機器に幅広く電子部品を供給している両社のポジションゆえの需要予測の精度も表していると思う。
直近は半導体でも色々な報道が出てきている。④でコメントしたが、NvidiaなどがTSMCに既発注部分を減らそうとしたが出来なかったみたいな噂も出ている。
金融危機以降、本格的に深押しする在庫調整サイクル・シリコンサイクルは発生していない。一方で、ここ数年は、TSMCだけで毎年数兆円投資するなど、ものすごい設備投資の状況だった。供給力が増え、需要が止まったり在庫調整の状況が発生する中で、どれくらいの調整になるのかが論点。
以前との違いは、デバイスだけでなく、クラウドインフラ用のサーバー需要はあること。これはデバイスと違いいきなり売上が激減するわけではないので、投資を続けると思う。あとはEVは半導体を大量に使うという部分で、そこが金融危機からの回復時のスマホのような役割になるか(ただ世界的なエネルギーリスクとのバランスもある)。
①車載半導体、逼迫感薄れる 大手5社の在庫9カ月ぶり増(2021年11月)
https://newspicks.com/news/6396957
②TDKは投資計画を見直し。電子部品メーカーが警戒する需要変化(2021年11月)
https://newspicks.com/news/6396787
③【PC】部材の在庫が減らない…景気暗転でPC業界に危機感 HPの10%下方修正は「序の口」 台湾メディア(2022年4月)
https://newspicks.com/news/6897857
④半導体需要に「急ブレーキ」、供給不足の現状と今後(2022年7月)
https://newspicks.com/news/7283664半導体ブームに陰りというタイトルとは裏腹に、半導体市場全体では供給ひっ迫が続いているとのこと。ガートナーの調査によると、1-3月期には、世界の半導体工場がほぼフル稼働。4月の半導体販売は前年同月比で12%伸びているという結論。
落ち込んでいるのは、仮想通貨の採掘目的の半導体や、パソコンなど。消費者向けの半導体製品の販売は、厳しくなっているようです。半導体需要を牽引するアプリケーションが多様化しており、MPUであってもPC向け、サーバー向けでは市況が異なり一律に需要が低下する訳ではないということでしょう。
半導体メーカーが安定した収益を出していくには、幅広いアプリケーションに対応できる(対応するリファレンスデザインを持っている)ことも重要ですね。